経産省 クレジット市場創設へトップリーグ検討
経産省は、50年カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みの一環として、炭素削減価値が市場で評価される枠組み「CNトップリーグ(仮称)」に関する実証を、来年度にも開始する考えを示した。世界で120以上の国家、グローバル企業などが続々とCNを表明し、脱炭素社会に向けた大競争時代に突入する中で、気候変動対策と整合的なビジネス戦略・国家戦略が、国際競争力の前提条件になりつつある。そうした情勢を踏まえて同省は今年2月、「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等の在り方に関する研究会」を設置し、「成長につながるカーボンプライシング(CP)」の検討を進めている。
同研究会はこのほど、中間報告をまとめ、同CPの基本的な考え方を示すと共に、具体的な対応の方向性として、気候変動対策を先駆的に行う企業群で構成する枠組みの構築を提示。野心的・先駆的な企業が、ESG資金を集めて投資と排出削減を進めるための、経済的手法を活用した枠組みを目指しており、企業が排出削減目標を設定し、国が実績を確認する仕組みを想定する。さらに、水素・アンモニア、CCUSなど日本企業が強みを持つ技術を、実際にCNにつながるプロジェクトとして社会実装するためには、それらのプロジェクトを通じた炭素削減価値に値を付けて、大量に取引する市場が必要―と判断。国内での既存のクレジット取り引きは、事業者の行動変容を促すには不十分な側面があることを指摘しており、国内外の質の高いクレジットを取り引きする国際的な市場として「カーボン・クレジット市場(仮称)」の創設を検討する方向性を示した。
一方で、これらの検討では、企業の自主性を尊重した制度設計から開始するが、国の削減目標との関係で、産業界の取り組みの進捗が芳しくない場合は、政府によるプライシングの導入も視野に入れる考えを示している。同報告を受けて同省は今後、具体的な制度設計について官民による専門的な議論を進め、来年度からの実証開始を目指すもの。