監視委 適取GL改正し発電情報公開を拡充
電力・ガス取引監視等委員会は、今年度冬期の厳しい需給見通しを踏まえて、発電情報公開システム(HJKS)に関する、電力適正取引ガイドライン(GL)改定に向けた検討を加速する。昨年度冬期におけるスポット市場価格の高騰では、発電所の稼働状況・見通しに関する情報公開の重要性が指摘された。そのため同委は、発電事業者に対して情報公開の拡充に関する調査を行った上で、制度設計専門会合を通じて、HJKSを中心とした検討を進めているところ。具体的には、〇HJKS登録要件・方法の見直し、〇HJKS登録時における燃料制約などの理由開示、〇発電実績の公開―について検討。このうちHJKSの開示に関する事項を同GLに規定しており、今冬に間に合う形で、同GL改定などの必要な対応を行う必要性を指摘した。
同委が今年4月、HJKSに発電ユニットを登録している旧一般電気事業者、JERA、Jパワーなどを含む全64の発電事業者を対象に実施した、情報公開に関する調査では、HJKSの登録対象となる出力低下や、停止・出力低下の見込み時期の登録方法などの見直しについて、事業者に与える影響を調査し、実態を把握。同調査結果などを基に議論を進めた結果、同委はこのほど「継続する24時間以内で240万㎾以上の出力低下が合理的に見込まれる場合」をHJKSの登録対象とし、同GLを改定する方針を固めた。さらに、大手事業者は燃料制約の実施判断を行う直前まで、「日常的な運用」に該当するバランス停止なども含めた検討を行っており、実務上、登録の例外に該当するかどうかの判断が難しい―との意見を踏まえて、日常的な運用の趣旨・範囲を同GLで明確化。需要が低い時に行う出力低下・停止であると共に、速やかに認可出力までの出力増が可能で、市場価格とインバランス料金に影響を与えないものを、同運用として情報開示の例外とする。
また、停止・出力低下の見込み時期に関しては、市場参加者の見通しを確保するため、「停止・出力低下が解消する」と合理的に見込まれる時期をHJKSに登録することが適切―と判断。同GLにおけるインサイダー情報開示の項に、同登録について記載する改定を行う。一方で、燃料の受け入れ見通しや需要動向などを考慮すると、実需給の直前になるまで確度の高い復旧予定日が見通せない―といった事業者意見を踏まえて同委は、出力低下・停止の継続期間の見込みに幅がある場合は、復旧予定日に加えて、最短・最長の予定日もHJKSで公開する方法案を提示した。
さらに、市場の予見性をより確実なものとする観点から、停止・出力低下の理由を、開示すべきインサイダー情報として位置付けるため同GLを改定。開示方法については、登録に関する負担軽減に向けて、登録理由に一定の類型を設けて、選択式で登録することを望む意見も挙がっており、詳細実務の検討は引き続き日本卸電力取引所で行う予定。