環境省 自然公園内の地熱開発容認を明確化
環境省は来月10日、地域共生型の地熱利活用に向けた方策等検討会を開催し、地熱資源・温泉資源の適正管理、自然公園法に基づく「地熱通知」などの見直しに関する議論を進める。小泉進次郎・環境相は今年4月、「地熱開発加速化プラン」を示して、10年以上とされる地熱開発までのリードタイムを2年程度短縮し、最短8年までにすると共に、自然公園区域外を含む全国の地熱発電施設数を、30年までに現在の約60施設から倍増する目標を提示。同目標の達成に向けて、温泉法や自然公園法の運用見直しなどに加えて、改正温対法に基づく促進区域指定や、温泉事業者などの不安解消に向けた、科学データに基づく円滑な案件開発について、同省自らが率先して行動する方針を示した。
今月19日に初会合を開催した同検討会に対して同省は、温泉法・自然公園法の運用に関する論点を提示しており、来月の第2回会合では、自然公園法の許可基準の明確化に向けて、「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて(環境省自然環境局長通知)」の見直しの方向性を示すと共に、「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」に反映する「大規模な地熱開発における掘削許可の考え方」の叩き台を提示して、議論を求める見通し。なお同検討会には、九州電力の濱田雄史・エネルギーサービス事業統括本部火力発電本部地熱企画グループ地熱副部長兼地熱企画グループ長が委員として参加している。
主な論点のうち、15年10月に示した国立・国定公園内の地熱開発に関する通知では、基本的考え方として第2種、第3種特別地域での「地熱開発は原則として認めない」ことを示しており、同省は同記載について、過去2回の規制緩和後の優良事例を踏まえて見直し、自然環境保全にも配慮した公益性の高い優良事例を積極的に容認すると共に、地熱開発の加速化に貢献する―との趣旨を明確化させる。