環境省 地熱拡大へ自然公園規制の検討加速
環境省は、地熱の導入促進に向けて、温泉法と自然公園法の運用に関する具体的検討を開始する。地熱資源量の約8割が、国立・国定公園内に存在するとされており、地熱の導入拡大には、これまで以上に同公園内での開発が円滑に行われる必要がある―と判断。一方で、内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」は、これまでの議論を踏まえて温泉法、自然公園法のうち地熱に関する規定の検討を求めており、同省は新たに「地域共生型の地熱利活用に向けた方策等検討会」を設置して、両法の運用に関する検討を加速するもの。ウェブ会議システムにより今月19日、同検討会の初会合を開催。今年度上期を目途に結論を得た上で、具体的措置を講じる。
小泉進次郎・環境相は今年4月に、地熱開発を加速化するために同省自らが率先して行動することを定めた「地熱開発加速プラン」を公表しており、同プランに基づき、30年までに地熱のリードタイムを自然公園内の案件開発により2年程度短縮し、最短で8年程度にすると共に、全国の地熱数を現在の約60施設から倍増させることを目指す方針を示した。これらの目標達成に向けて同検討会は、自然公園における地熱の許可基準・審査要件の明確化や、国立・国定公園内(第2種・第3種特別地域)での地熱開発は原則として認めない―とする、地熱の取り扱いに関する基本的な考え方の転換などを論点に、検討を進める見通し。
また、温泉法に関して同省は、大深度の傾斜掘削に対する離隔距離規制や、本数制限などについて今後、都道府県に点検を要請した上で、今年度上期中にも科学的根拠のない規制は撤廃する。20年3月末時点の地熱導入量(FIT前導入量+FIT導入量)は計59・3万㎾。30年エネルギーミックスは140万~155万㎾を目標に定めており、現時点で見込むことができる政策強化を踏まえて経産省が行った試算では、30年に97・5万㎾となる見通しを示した。