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エネ庁 利用者ニーズ踏まえ電力データ活用へ

 経産省エネ庁は、平時における電力データの活用制度の構築に向けて、「認定電気使用者情報利用者等協会」の設立に関する検討を加速する。スマートメータから得られる電力データは、停電状況の早期把握による災害の避難指示や、新型コロナウイルスによる自粛要請の効果分析といった、新たな社会課題への対応に活用されることが期待されている。このうち災害などの緊急時における電力データの活用については昨年度、法改正により経済相から電力会社に対して、地方公共団体や自衛隊などへのデータ提供を求める制度を措置。一方で、平時の電力データ提供に関して同庁は、消費者保護や情報セキュリティ対策と共に、利用の公正性、利用者間の公平性といった観点から、同認定協会を通じてデータ利用者に情報提供する制度を導入する。
 同庁は今年1月、電力・ガス基本政策小委員会において、関係行政機関からの情報提供ニーズの高まりに円滑に対応できるよう、託送供給業務の運営に必要な事項として同認定協会のシステム整備・構築の検討を進める方針を整理。3月の持続可能な電力システム構築小委員会では、認定協会は利用者が運営することを前提に、有識者の意見を踏まえて検討する考えを示し、来年4月の認定と23年度からのシステムを用いたデータ提供を目指す方針を固めた。
 一方で、同協会によるデータ提供の際の費用や収益について同庁は、受益者となるデータ利用者の負担とする考えを提示すると共に、同利用者ニーズを踏まえた仕組み・システムを構築する観点から、同協会の設立に関わる意思を有する利用者を募って、個人情報・消費者保護、データ解析、セキュリティなどの専門家の意見を聴き、検討を進めていくことを提案。その一環として今月28日、「電力データ活用の在り方勉強会」をオンラインで開催し、同制度に関する検討状況の報告や意見交換を行って、事業者の理解醸成を図ると共に、利用者ニーズの把握につなげる考え。