NEDO 苫小牧CO2輸送実証公募来月6日まで
NEDOは今年度から26年度までの6年間にわたり、北海道苫小牧市においてCO2輸送に関する実証に取り組む。19年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」は、化石燃料の利用に伴うCO2の排出を大幅に低減する手段として、CCS・CCU、カーボンリサイクルの役割りの重要性を明記する一方で、その社会実装にあたりCO2排出源と貯留地が離れていることに伴うCO2輸送の課題を指摘。官民の取り組みとしてCO2を安全、低コストで輸送するための適切な事業設計を行い、民間事業者が投資判断を行うことができるような状況を作り出すことを求めた。一方で経産省は、関係省庁と連携して「50年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を昨年12月に策定し「ビヨンド・ゼロ」を可能とする革新的技術を50年までに確立することを提示。これらの目標を踏まえてNEDOは、30年頃のCCUS社会実装に向けて、年間100万t規模のCO2供給地点から貯留・利用地点への長距離・大量輸送と、低コスト化につながる液化CO2の船舶輸送技術の研究開発、年間1万t規模のCO2船舶輸送実証を実施するもの。
具体的には、長距離・大量輸送に適した液化CO2の輸送条件に合わせた研究開発と、設備機器の設計を実施。さらに、排出源で排出されたCO2を出荷基地で液化・払出しを行った上で、船舶輸送を介して受入基地での受入れまでの一貫システムとして、運用性・操業管理に関する実証確認を行う。また、標準船型、安全規格、設計基準といった輸送条件規格化のための基礎要件を、実証データから収集分析して、液化CO2の長距離・大量輸送に関する国際的なルール形成に参画する。国際的なCO2輸送ビジネスに向けた事業性も検討する。CO2の出荷基地として関西電力の舞鶴火力(石炭、計180万㎾)を有力な候補サイトとしており、同火力構内で23年度第4四半期頃に運開する省エネルギー型CO2分離・回収システムのパイロットスケール試験設備から出荷された液化CO2を、同じく有力な受け入れ基地候補とする北海道電力の苫小牧火力(重原油・天然ガス、25万㎾)まで輸送する計画。26年度までの事業規模は160億円で、来月6日まで公募を行い、6月中旬にも委託先を決定する。