エネ庁 クリアランスの社会定着へ検討体制整備
経産省エネ庁は、クリアランス制度の社会定着に向けた検討体制を強化する。同制度が社会に定着するまでの間の再利用先として事業者は、自主的に電力業界内や理解促進のための展示に限定して運用し、市場への流出を防いでいる。一方で、資源の有効活用の観点から同庁は、電力業界内での再利用先のさらなる拡大や、将来的な「フリーリリース」の実現に向けた検討が重要―と判断。既報の通り国内では、60基中24基の原子力が廃炉を決定しており、今後廃止措置が本格化するのに伴って、クリアランス金属の増加が見込まれることからも、加工事業者の協力や地域の理解を得ながら、再利用先を拡大していく必要性を示した。
これらの課題検討に向けて同庁は、21年度の新たな取り組みとして、原子力、放射線、消費者、自治体、鉄鋼、社会科学分野の専門家などを交えた検討体制を整備。社会定着の判断基準や効果的な再生品・設置・広報に関する具体策の検討を推進する。さらに加工事業者と協力し、クリアランス金属の加工に関する実証事業を実施。同事業を通じて、これまでに取り組んだベンチやテーブルへの加工に留まらず、より汎用性が高く一定の需要があり、広く社会の目に触れやすい建材などに同金属を加工する技術を検証する。さらに、トレーサビリティや安全性の確認に加えて、原子力施設外への搬出から再利用までのサプライチェーンにおける、クリアランス物の再利用モデルを構築する。