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エネ庁 蒸気発生器など放射性廃棄物輸出基準

 経産省エネ庁は、原子力の廃止措置に伴う放射性廃棄物の海外処理に向けて、輸出規制の見直しを検討する。使用済み燃料の管理などに関する国際条約では、放射性廃棄物は発生した国で処分することを原則としており、日本は外為法に基づく輸出管理の運用において、放射性廃棄物の輸出は「原則として承認しない」としている。一方で、国内で設置・建設中の原子力60基のうち、24基が廃炉を決定しており、20年代半ば以降には原子炉の解体が本格化していく中で、廃止措置や設備のリプレースに伴って発生する蒸気発生器、給水加熱器などの大型金属は、国内には専用施設や設備が無く、現状では処理が困難となっている。これらの廃棄物について同庁は、発電所構内のスペースを占有し、円滑な廃止措置を進める上でボトルネックとなっていることを課題として提示。同課題の解決に向け海外事業者への委託処理を視野に、制度環境を整備する方針を固めた。
 諸外国では大型金属を除染や溶融などの処理により、リサイクルするビジネスが確立されており、同庁は中長期的な国内での集中処理施設の導入も含めた検討や、足下の廃止措置を円滑化するためにも、海外事業者への委託処理を通じて運用の実績を積むことが重要―と判断。放射性廃棄物の処理・処分については、発生者責任の原則の下で原子力事業者などが、処分場確保に向けて取り組みを進めていくことを基本としており、同原則は維持した上で、条約に基づく相手国への通報・同意に加え、一定の基準を満たす場合に限って、例外的に輸出を認める規制の見直しを行う。
 同庁は、このほど開始された原子力小委員会において、同基準とする放射性廃棄物の輸出承認基準案を示した。具体的には、蒸気発生器、給水加熱器、輸送用・貯蔵用キャスクの3機器を対象とし、これらの廃棄物が相手国で再生利用され、安全・適性に処理されることが確実であること、残渣などの返還がある場合には、それを適切に輸入できる体制を確保していること―を基準に輸出を認める考え。