エネ庁 エコキュート25年目標の新省エネ基準
経産省エネ庁は、家庭用CO2冷媒ヒートポンプ(HP)給湯器「エコキュート」の新たな省エネルギー基準を示した。同庁の省エネ基準に関する審議会が、19年6月から行ってきた検討結果をこのほど取りまとめ、25年度を目標年度とする10区分の省エネ基準をそれぞれ提示すると共に、エコキュートのさらなるエネルギー消費効率の向上に向けて、政府をはじめ販売事業者、製造業者といった関係者の積極的・継続的な努力を求めた。13年度に設定された現行の省エネ基準は、17年度を目標年度としており、既に全ての事業者が基準を達成。同基準の設定後に、新たな測定方法を日本産業規格JISが策定したことから、同方法に基づき目標とする基準エネルギー消費効率を見直したもの。
具体的には、17年度の実績値と比較して、約5%のエネルギー消費効率の改善を見込んで、省エネ基準を設定した。同基準の区分は、現行の36区分を10区分に統合しており、製造事業者が目標年度において国内向けに出荷するエコキュートについて、エネルギー消費効率を区分ごとに出荷台数で加重調和平均した値が、目標基準を下回らないことを求める。家庭におけるエネルギー消費量のうち給湯は、3割と特に大きな割合を占めており、同庁は、エコキュートの使用実態に即した新たな測定方法の下で、目標とする基準エネルギー消費効率を見直すことにより、エネルギー消費性能の一層の向上につなげる考えを示している。
なお、導入当初から、電力が普及拡大に向けた取り組みを牽引するエコキュートは、昨年6月末に累計出荷台数が700万台を突破。15年7月に策定された長期エネルギー需給見通しでは、30年までに1400万台の普及を目標に掲げており、電気の需要面におけるエネルギー消費の効率化に欠かせない技術となっている。一方、卒FIT世帯が今後増加する中でエコキュートは、自家消費を拡大する手段としても期待されている。HP・蓄熱センターが、有識者による検討会を通じて19年度に実施した、余剰電力の自家消費におけるエコキュートなどHP給湯機の有用性評価では、全国の戸建て住宅(世帯人数3人以上)約1028万世帯が、太陽光とHP給湯機を導入し、HP給湯機の運転方法を夜間蓄熱から最適制御に変更した場合に、太陽光自家消費量が年間66億kWh増加、原油換算で11・5万㎘の省エネ効果があることが判明。同効果は、長期需給見通しが示す、30年における家庭部門の削減目標、1160万㎘の約1.0%に相当することが分かっている。