エネ庁 地層変状の成因解明に向けて基礎調査
経産省エネ庁は来年度から3年間にわたって、地質時代の第四紀に堆積した地層「第四系」中の変状に関する基礎的研究に取り組む。原子力の安全性向上に関する事業の一環として新たに着手するもので、258万8000年前から現在までの地質時代に堆積した、第四系に生じている撓み膨らみや、膨らみに伴うせん断などの変状について、その成因を明らかにすることで、原子力の一層の安全性・信頼性向上につなげる。第四系中の変状に関しては、形成要因を含む成因を学術的に研究した事例は知られておらず、同庁は国内の原子力敷地内で見つかっている同変状の地形・地質学的特徴を踏まえた研究を推進。文献調査などの事前調査を端緒に、同特徴がみられる可能性が高い地点を抽出し、現地調査地点に定めた上で、同地点に対する地形・地質学的アプローチなどを実施するスキームを想定する。
エネ庁は、原子力の敷地内で見つかっている第四系中の変状として、〇連続的な変動地形として観測できるものではない、〇基盤岩の変位量と第四系の地層の変位量が同程度で累積性がない、〇変状直下付近に明瞭な断層がないことがある、〇変状は基盤岩にも認められるが、岩盤表層部に限定される、〇変状が認められる箇所においては、周辺の基盤岩が著しく風化している―といった特徴を提示。これらの特徴を踏まえて、現地調査地点に分布する地層、堆積物の年代測定、基盤岩の風化状況、第四系中の変状に関する不連続面の分布・性状、不連続面に生じた変位の繰り返しの有無などを調査し、同地層変状の成因を解明する。