九州送配電と東電設計 ケニアで国際共同研修
九州電力送配電と東電設計は、東アフリカのケニア共和国で来月より、同国の電力セクターであるケニア送電公社の職員の技能向上を目指した国際研修「送電系統技術能力向上プロジェクト」を開始する。ケニアでは近年、高い経済成長率に伴う電力需要の順調な伸びと、電化率の向上に力点を置いた政府方針を受けて、国内における送電網の拡大や周辺国との国際連系線の建設、さらに変動型再生可能エネルギー(VRE)の導入が急速に進んでいる。こうした現状を踏まえて同国政府は、現在ケニア電力公社が担務している中央給電指令機能を、至近年中にケニア送電公社などに移管する方針(移管先は6月までに同国エネルギー省が決定)を決めており、同移管に先駆けてケニア政府は、JICAに対し、〇中央給電指令業務の運営能力、〇送電系統計画の策定能力、〇系統保護能力―の各強化に関して、日本の電力の支援を要請。これに対応して、新たなJICA事業となる送電系統技術能力向上プロジェクトを、九州送配電と東電設計に委託して行うことになったもの。
両社は来月より、日本国内で、ケニア電力公社による中央給電指令業務の現状分析や、近い将来に予定されているVREの大量導入と国際連系、送電網の拡大などに対応するために必要となる「中央給電機能強化方針」を決定するための各種調査を行う。その上で、電力公社と送電公社それぞれの中央給電指令業務に関する人材育成と組織体制の強化を図るため、日本をモデルにした体系的な研修体制を構築して、同国の安定供給に貢献する。プロジェクトの実施期間は24年2月末までを予定しており、この間、新型コロナウイルス禍の収束を待って、現地研修も行う考えだ。