JICA 電力とネパールで新規水力準備調査
JICAは、関西電力に委託して南アジアのネパール連邦民主共和国で昨年3月~今年5月に行った「水力発電セクターにおけるPPPモデルに係る情報収集・確認調査」の集約結果に基づき、同国のネパール電力公社の職員を対象にした新たな国際研修を開始する。水力資源が豊富な同国は、直近となる昨年で、国内の総設備容量118万㎾のうちの9割以上を水力(113万㎾)が占めているが、需要が132万㎾と供給容量不足となっている上、既設水力の大半が流れ込み式であるため、流量が減少する乾期に出力が大幅に低下して、その間における需給ギャップが深刻な社会問題となっている。そのため同国政府は、昨年策定した第15次5か年計画(19~24年)で、電力セクターを経済成長に向けた最重要セクターである―と位置付けると共に、新規貯水池式水力の開発を「国家開発戦略における重要課題」に設定。この履行に向けて、担務部門となるネパール電力公社職員の人材育成と組織体制強化を図るため、日本政府に協力を要請した。これに先立って政府はJICA事業として、関西電とニュージェックの社員を「水力計画アドバイザー」として17年より複数回にわたってネパールに派遣。同国電力公社の職員に対する研修などを行って、水力担当者の業務スキルと実施能力の向上に協力した。
これに続く支援事業として、同じく関西電が行った前記調査(同国初となるPPPスキームでの貯水式新規水力建設のための情報収集活動)の成果を踏まえて、新規水力整備計画の策定に向けた技術的指導と助言を行うための新たなアドバイザーの派遣を決めたもの。支援期間は今月下旬~23年12月末までを予定しており、このうち現地での研修については、コロナ禍の鎮静化または収束を待って行う。