JPEA 太陽光の主力電源化による便益を試算
太陽光発電協会は、再生可能エネルギーの導入による国民負担が大きな課題となっている中で、太陽光の費用対便益について、50年単年度でCO2排出削減により2.4兆円、化石燃料削減で2.7兆円の便益が生じる―との試算結果を明らかにし、FIT開始当初3年間に認定された設備の費用により、今は負担が大きいが、これからの社会を支える長期的な視点で費用便益を議論することが重要―との考えを示した。17年6月に公開した「PV OUTLOOK2050」をこのほど改訂し、パリ協定の長期目標を達成するため、50年には国内電力需要の約30%を太陽光で賄う見通しを示すと共に、主力電源化に向けて導入される太陽光の費用対便益を分析・試算し、その結果を取りまとめたもの。
FIT制度下での再エネ買取費用総額は、17年度の2.7兆円から19年度は3.6兆円に増加することが見込まれており、賦課金総額は2.4兆円に達する見通し。19年度の同買取総額見込みのうち2.7兆円、75%を太陽光(事業用70%、住宅用5%)が占めている。同協会は、国民が負担する電気料金に直接影響を及ぼす「電力コストの増減」の観点から同試算を実施。同コスト増減要素として、①火力発電の燃料費削減、 ②CO2対策費の削減、③自家消費電力の増加による送電ロスの削減、 ④系統対策費用、⑤発電コスト―の5項目を考慮した。設備導入量は50年に累積300GW、FIT/FIP設備の新規認定は30年で終了し、以降は自立的に導入される設備が普及することを想定しており、30年における非FIT設備の発電コストは、kWhあたり住宅用10円、事業用7円、一方で火力の燃料費とCO2対策費は、IEAのシナリオに基づき、50年に合わせて12・84円と見込んだ。その結果、12年以降の全設備を対象とすると、35年から便益が費用を上回り、累積でも56年には便益が費用を上回ることが判明。20年以降のFIT/FIP設備が対象の場合には、28年にも累積で便益が費用を上回ることが分かった。