10電力 電気工事組合との災害時連携を明確化
一般送配電事業者10社は、災害時の円滑・迅速な工事力を確保するため、電気工事組合との連携強化に向けた検討を加速する。昨年9月の台風15号では、東京電力パワーグリッド(PG)による高圧線の停電復旧作業が終了したにも拘らず、低圧線から各住宅への引込線が故障していたため、各住宅の停電が解消されない事象が発生。これに対して同社が、事前に請負契約を締結していた電気工事店へ引込線の改修工事を依頼したところ、特に初期段階において同工事に関する手配などが輻輳した。同事態について経産省の電気保安人材・技術WGは昨年11月の会合で、非常時における電気工事店に対する協力依頼の具体的な内容や方法などの取り決めが十分でなく、円滑な運用ができなかった―と指摘。非常時に迅速な復旧を図るため10社は、大手電気工事会社や電気工事店と一括または個別による非常時の契約を締結して災害復旧を実施しているが、東電PGの対応を踏まえて、電気工事会社との協力内容や方法の明確化、災害を想定した訓練や情報共有などの重要性を示した。
これらの課題提起を踏まえて10社は、全日本電気工事業工業組合連合会と協議を行い、具体的な災害復旧における役割分担・協力の明確化などについて、連携の方向性を確認・整理。今夏の台風シーズン前までに、迅速な災害復旧につながる連携強化に向けて、各社が電気工事組合などとそれぞれ協議を進める考え。具体的には、各社の供給エリアを統括する地域ブロック単位で協定を締結。一方で、各社の協定状況などを勘案し、都道府県単位の電気工事組合との協定締結でも可能とする。また、現状締結している契約や協定の条文に、「暴風時、洪水、雪害、地震その他の事由により、発注者の工事目的物以外の電気工作物が甚だしい損害を被った場合または被る恐れのある場合は、受注者は発注者の要請により直ちに出動または待機する」などの内容を追記。さらに発注業務範囲については、各電力と電気工事組合との協議によって決定する方向で検討する。
地域ブロック単位では、関西、四国、九州の3電力送配電が契約済みで、東電PGは来月にも締結。各県工事組合とは北海道電力ネットワーク、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、関西送配電、中国電力ネットワーク、沖縄電力が契約済みで、東電PGは協議中。一部の県工事組合と契約を締結している東北電力ネットワークは、地域ブロック単位では工事組合側の要望がなく、協議を継続中。