NEDO 苫小牧でCCUS研究開発の拡大を検討
NEDOは、北海道苫小牧市で実施するCO2分離回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の実用化を目指した研究開発の一環として、メタノールなどの基幹物質の合成によるカーボンリサイクル技術の研究開発を進める。同市では経産省が12~17年度まで、日本CCS調査への委託事業としてCO2を分離回収・貯留するCCS大規模実証を実施。18年度からは、NEDO交付金により同取り組みを進めており、16年4月から年間10万t規模を目標に開始したCO2の圧入実証では、昨年11月に累計CO2圧入量が目標の30万tを達成している。同目標の達成に伴って、CO2の圧入は現在、停止しており、さらなる研究開発の拡大を目指したCCUS技術としてNEDOは、精油所などから排出されるガスからCO2を分離・回収し、地中に貯留する既存のCCS設備と、CO2の貯留地点で行う、メタノールなどの基幹物質の合成といったカーボンリサイクル技術について、プラント全体の相互作用を考慮した基本設計や、各構成機器の特性評価、経済性評価、周辺技術調査などを進める方針を固めた。
具体的には、既存のCCS設備で貯留される、工場などの排ガス由来のCO2の一部を活用したカーボンリサイクル技術として、メタノールなどの基幹物質を合成するためのプラントシステム機器・系統構成に関する基本設計を実施。反応温度・圧力やリサイクル比がプラント性能に与える影響について検討する。さらに、想定される基幹物質合成システムのプラント機器コストやランニングコストを見積もり、既存CCS設備とメタノール等基幹物質合成システムの相互作用を考慮したプラント設計における、基幹物質製造の経済性を調査。また、国内外における関連した周辺技術調査を行って、同市におけるメタノールなどの化学基幹物質の合成による、CO2有効利用の事業見通しを検討する。