エネ庁 低圧分割案件のFIT認定審査を厳格化
経産省エネ庁は、太陽光などの大規模な再生可能エネルギー設備を、同一事業地内で意図的に小規模設備に分割する「低圧分割案件」に対して、審査を厳格化する考えを示した。同分割により発電事業者は、安全規制の適用を回避でき、低コストでの設置や、低圧案件として簡易的なプロセスでの系統接続が可能となる。その一方で、実態上は大規模設備であるにも関わらず、安全規制が回避されることで、地域に懸念を生じさせると共に、一般送配電事業者が負担する接続機器費や事務費が増大することからエネ庁は、14年に新たなFIT基準を追加。特段の理由が無く、一つの場所で複数の再エネ設備を設置することは、FIT設備として認めない基準を新設した。さらに17年7月には、分割案件の基準を明確化し、例えば隣接する土地の地権者が外形的に異なる場合でも、1年前に遡ってその同一性を判断する―などの基準を示しているが、これらの措置にも関わらず、未だに分割規制逃れの疑義がある案件が多く存在することを同庁は問題視。一般送配電事業者からも、敷地を分割して分譲販売用として設置する、集中型の低圧事業用太陽光がある―との報告を受けており、地域にもたらすトータルの便益が高いとはいえない状況―と指摘する。
エネ庁は、分割を禁止するFIT認定基準の趣旨を踏まえて今後、新規認定申請が行われた案件については、特に登記簿上の地権者の同一性について、申請日から1年以内に限らずに、厳格に審査する方針を示した。さらに、分割以外のFIT認定に関する各種運用基準についても点検を行って、地域との共生や適正な事業規律の観点から、問題があると考えられる基準の明確化などに取り組む考えを示している。太陽光発電協会の代行申請センターによると、18年度に認定申請された約3.8万件の事業うち、35%にあたる約1.3万件が分割疑義案件で、その大部分が1年から1年半前まで遡ると、登記簿上の地権者が同一となっていた。