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環境省 炭素循環社会モデル事業で川崎重工を採択

 環境省は、低炭素・炭素循環社会を目指して今年度から開始する「CO2の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」に、川崎重工業と早稲田大学による技術開発事業を採択した。CO2の資源化を実現するための課題解決に向けて、モデル的な取り組みを行うことで、低炭素・炭素循環社会の構築につなげる考え。今年度から3年間にわたり実施する、川崎重工と早大による技術開発に対して、今年度は約2億円、来年度以降も同程度を支援する見通し。
 同採択を受けて川崎重工は、従来、有効利用が困難とされていた低CO2濃度ガスから、特殊な固体吸収材を用いてCO2を回収。同CO2を植物の光合成促進や藻類培養、化成品合成の原料などに利用した、炭素循環社会モデルを早大と共同で構築する。同モデルの構築に向けて同社は、実証試験を通じて産業施設などの排気ガスからCO2を回収した場合と、その周辺大気から回収した場合とを比較検討する。回収したCO2は、化合物などを製造して有効利用することを想定しており、商用規模での事業化を目指して、ライフサイクルアセスメントによりモデルの成立性を検証し、提案する炭素循環社会モデルがCO2固定化に貢献することを提唱する。
 なお同社は、経産省の「CO2分離回収技術の研究開発事業」として、地球環境産業技術研究機構と共に、火力などの排ガス中からのCO2分離・回収における課題となっていた省エネルギー型システムの研究開発に取り組み、これまでにCO2用固体吸収材や独自のCO2回収システムを開発。同事業には16年度から、関西電力が参画しており、同社の舞鶴発電所(石炭、計180万㎾)に、固体吸収材を用いて1日あたり40t規模のCO2を分離・回収するシステムを設置し、今年度以降にも実用化試験を開始する取り組みを進めている。