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経産省 原子力人材育成に産学官連携の必要指摘

 経産省は、今後の国内における新たな原子力人材育成に関する取り組みとして、他分野との協調を図ると共に、研究開発とも連携した人材育成の必要性などについて報告を受けた。安全性の向上を担う原子力人材育成事業の検討につなげるため、三菱総合研究所に委託して、社会人を対象とした人材育成の現状や課題、取り組みに関する国内外調査を実施。国内調査では、原子力産業に関わる電気事業者をはじめ、研究機関、プラントメーカー、サプライヤーを対象に行った結果、各組織や機関において、人材育成の目的や課題意識が異なり、業界での横断的な協力などの有機的な連携は無く、個別の育成に留まっていることが判明。原子力産業全体を支えていくには、共通的な目的に基づく、体系的な人材育成支援を実施する必要性を指摘した。さらに同調査は、人材育成の目的を「原子力による社会貢献=原子力産業の維持、価値向上を実現可能な人材の確保・育成」とした上で、建設・運転・保守・廃止・開発・変革―といった活動ごとに整理。このうち「開発・変革」に関する活動が、「建設・運転・保守・廃止」に関する活動に影響を与えつつ、また他分野と開発を共同で行うなど、技術だけでなく人材も流動的となることの必要性を強調した。

 その上で、今後行うべき人材育成事業を、①新型炉・先進炉の開発、②既存価値の変革・他分野技術適用、③個社による人材維持、育成、④サプライチェーンの維持、⑤廃止措置人材の育成、⑥イノベーション人材の創出―の6つに分類し、それぞれにおける人材育成の在り方を提言した。このうち①②では、人材育成事業と「開発・変革」に関する取り組みに共通的な目的を設けるため、例えば人材育成に関する取り組みを評価する仕組みを設けることを提示。大学をメンバーに加えた提案を優先的に採択するなど、人材育成に関する採択指標を設けることを提案した。また、これらの人材育成に向けた取り組みを全体的にまとめる機関として、原子力人材育成ネットワーク(NW)などの活用を提示。同NWとの連携を強化するなど、産学官が一体となった取り組みが進められるよう、可能な限り民間に任せる流れを作ると共に、第三者機関における評価を採り入れるなど、従来とは異なる実施体制を組むことを求めた。