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厚労省 電力を範にドナー休暇制度の導入拡大へ

 電力が、産業界の先駆けとして取り組みに協力している「骨髄提供者(ドナー)休暇制度」の導入拡大に向けた新たな施策が、19年度からスタートする。東京五輪での活躍が期待される競泳の池江璃花子選手の白血病公表により、改めて注目されている同制度は、白血病の治療に有効な骨髄移植の普及を図るため「企業に同制度を自主的に導入してもらうことで、ドナーが骨髄を提供しやすくして円滑な移植につなげる」(日本骨髄バンク)ための支援スキーム。同バンクを介して骨髄・末梢血幹細胞を提供する場合、運よくドナーと患者が適合しても、ドナーは「移植前後で計8回程、医療機関に通うことが必要となる」(同)上、移植手術の際にも3泊4日の入院が必要となるなど、ドナー個人では対応し難い制度上の課題が指摘されている。
 そのため、こうした医療措置に要する休暇を、企業が通常の有給休暇とは別に「特別休暇」として扱うドナー休暇制度が誕生したものの、現在、同制度を導入している企業・団体は全国でわずか347社に留まっている。こうした現状下で電力は、全10社と中部電子会社の中電シーティーアイが同制度を導入しており「全産業の中で最も先進的な取り組みをしている業界」(同)となっている。そのほか、ガス事業者では静岡ガスと東邦ガスが、さらに東芝、住友電気工業、日本ガイシ、鹿島建設、戸田建設なども導入済みだ。厚労省は、電力に代表される大手企業のさらなる協力を求めて来年度より、全国の大手企業約1.1万社を対象にしたドナー休暇制度に関する大規模アンケートを実施して、制度の普及を阻んでいる課題を洗い出した上で、導入促進のためのマニュアルを作成する。これと併せて、既に制度を導入している電力10社などの協力を得て、導入に至るプロセスや利点などについて説明する説明会も全国で開催する。安倍晋三首相も、先月18日の衆院予算委員会で「希望する人がドナーになりやすい環境を整備する」と明言しており、国を挙げたトップダウンで制度の普及に注力する。