エネ庁 余剰電力活用へVPP事業者の負担軽減
経産省エネ庁は、家庭用蓄電池の価格低減に向けた今後の取り組みとして、バーチャルパワープラント(VPP)アグリゲーターなどの事業者負担の軽減を図る考えを示した。住宅用太陽光が19年以降に順次、FIT買い取り期間を終えるのを視野に、メリットオーダーなどに基づいて余剰電力を集約し、需要家の利益を最大化させるVPPビジネスが検討されている。同ビジネスは、需給逼迫状況や卸電力市場の取り引き価格に応じて、電力量として余剰電力を提供することや、蓄電池を制御することで収益の最大化を図るなど、VPPアグリゲーターを介することで、新たな付加価値を創出。家庭における需給一体型の再生可能エネルギー活用モデルとして期待されており、その普及には同ビジネスで有望なリソースとなる蓄電池の導入コストの低減や、同ビジネスの事業化・拡大に向けた制御技術の向上、各種電力市場の設計などが課題となっている。このうち制御技術の向上に関してエネ庁は、今年度予算41億円を充当し、40社以上のVPPアグリゲーターが参画する実証事業を実施。分散型エネルギーを遠隔制御して、指定通りに電力量を提供する検証を行っているところ。また、容量市場、需給調整市場などの電力市場については、アグリゲーターの参画が可能となるような要件の検討を進めている。
一方で、家庭用蓄電池システムの価格低減に向けてエネ庁は、毎年度ごとの目標価格を設定し、同価格を下回った場合に限定して支援する価格低減スキームを実施。太陽光を保有する平均的な住宅において、蓄電池を導入して太陽光による電気を自家消費し、電力購入価格の抑制により投資回収した場合の同システム価格を、20年度にkWhあたり6万円とする目標を掲げた取り組みを進めている。そうした従来の取り組みに加えて、VPPアグリゲーターによる余剰電力の活用を推進するため、系統連系協議や規制への対応といった事業者負担の軽減に向けて、蓄電池に関する認証・規制の見直しを検討する考えを提示。特に、一般送配電事業者との系統連系申請時におけるスペックの簡略化、提出書類の統一化を図ると共に、電気安全環境研究所(JET)が系統連系装置などに対して行う、JET認証の対象機器の拡大や同認証審査機関の短縮、国際基準との試験項目の統一化・相互認証などを課題に検討を進める。