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関西電 帯水層蓄熱技術実用化で大阪市が特区申請

 関西電力が、大阪市や大阪ガス、NTT西日本と16年から、市内のうめきた2期地区で実証研究を進めてきた「おおさかエネルギー地産地消推進プラン」の成果を踏まえ、市はこのほど、同プランの目玉となる「帯水層蓄熱利用技術」の早期実用化に向け、内閣府に市内全域を対象とした「国家戦略特区」としての申請を行った。同取り組みは「水都大阪」を象徴する水に関する未利用エネルギーである淀川の伏流水などの地下水を活用し、再開発が進む、うめきた2期地区の地下に帯水層を形成して、冷暖房の予冷熱などに利用する―というもの。具体的には、深さ50~100mに位置する帯水層に届く専用井戸を掘削し、ポンプで水を汲み上げてビルなどの冷暖房に活用するスキーム。帯水層は保温効果が高いことから、夏季に冷房で使用して温まった水を地下に戻し、冬季には暖房で使用。さらに暖房で使った後に冷めた水を、次の夏に再び冷房に用いる―というサイクルを繰り返すことで「通期で冷暖房にかかるエネルギーコストを最大35%削減できる」(市)という。

 関西電などは昨年1月より、帯水層から実際に水を汲み上げた上で、地下に戻して地盤沈下の有無を確認する実証実験を市内で行っており、これまでの1年半にわたる実証の結果「地盤沈下が起きないことを確認した」(同)という。地下水の汲み上げについては現在、工業用水法やビル用水法によって、特に都市部における地下水の採取が厳しく制限されていることから、これまでの実証での成果を踏まえて市が今回、国家戦略特区として、市内に限定した同規制の緩和を国に求めたもの。これと併せて市は、帯水層蓄熱利用技術を用いたビル空調システムを導入するための、うめきた2期地区開発事業を、既報(7月20日号)のように、関電不動産開発や大阪ガス都市開発、三菱地所など15社で組織する企業グループに委託することを決め(都市再生機構西日本支社が、15社に業務委託する形となる)、同工事が完了する24年度より、帯水層蓄熱利用技術を用いた空調スキームがスタートすることになる。地下水をビルなどの大規模施設や、エリア大での冷暖房に用いるケースはこれまでに前例のないことから、市は「同スキームを、25年の誘致を目指す大阪万博の会場施設にも導入する」考えだ。