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経産省 IoT影響調査で分散型電気事業に移行

 経産省は、電力需給・系統関連調査の一環として実施した「AI・IoTなどの技術革新が、系統・発電・小売り部門に与える影響と、求められる新たなビジネスモデルなどに関する調査」の結果から、AI・IoTなどの革新的技術は、電気事業を中央集約型から市場型・分散型へと移行促進させる手段となる―との示唆を得た。近年急速に発展を遂げているIoTを中心とした技術革新は、系統運用、発電制御、需要予測などの電気事業においても、多くの分野に応用できる可能性を秘めており、新たな技術革新の動向や、将来的な電気事業へのインパクトなどに関する検討に役立てるため同省は、日本総合研究所への委託事業として関連情報の収集、詳細分析を行う同調査を実施したもの。

 同調査結果は、IoT・ブロックチェーン技術・AIの進展に伴って、きめ細かな電力制御や需要家同士の電力売買、多様化する電力需要・取引の最適化などが可能になる―と指摘。小規模・多数の電力源となるEV・PHVや太陽光・風力などの活用には、これらの革新的技術が不可欠―とした上で、同技術の進展により電気事業は従来の中央集約型から、現状の電力システム改革でも移行が進んでいる市場を介して、電力の売買が行われる市場型、さらには地域特性に合わせて分散型の電力需給システムを採り入れるオプションを有することになる―との見通しを示した。

 また、欧米の大手エネルギー企業は、自社開発に留まらず、革新的技術を有するスタートアップ企業を投資・買収し、ノウハウの吸収を進めている実情を踏まえ、国内においても、電気事業への革新的技術の取り込みを急ぐ必要がある―と指摘。特に配電分野に関しては、欧米でも多くのスタートアップ企業が様々な技術や製品・サービスの開発を競い合っており、これら企業への投資・買収、アライアンス締結などの手法により「革新的技術を自社事業へどのように適用できるのか」の検証を進めることが、電気事業全体の市場価値向上につながる―との考えを示している。