九州電 福岡市で大規模開発プロジェクトを推進
九州電力は、福岡市での大規模地域開発プロジェクトに参加・協力する。市が所有する博多区那珂の青果市場跡地(約9㏊)に、三井不動産や西日本鉄道と共同で、三井不動産が展開する商業施設「ららぽーと」を核とした大型複合施設を整備し、集客の目玉として、子ども向けの職業体験テーマパークとして知られる「キッザニア」を誘致して開業する―という取り組み。ららぽーと、キッザニア共に、九州圏では初の開設となる。既報のように九州電は、西鉄などと共同で19年度より、福岡空港の運営事業を開始する=次記事参照=が、市場跡地が同空港から至近地(約2㎞)に立地しており、さらに市の中心となるJR博多駅からも約3㎞の好立地にあることから、三井不動産、西鉄とのグループで、市が今年5月に行った市場跡地売却の公募に応募。同じく応募した、JR九州、イオンモール、流通大手のイズミ(広島市)と西部瓦斯を、それぞれ中核とする3つの企業グループとの競合となったが、4グループの提案を慎重に検討した市が、市の求める、○商業などの賑わい空間、○子どもが気軽に運動できる空間、○災害時に地域住民が利用できる多目的空間―などの整備条件を、いずれも満たす九州電グループの提案内容を最も高く評価。市有地である市場跡地の同グループへの売却を決めたもの。
九州電などは、市が12月市議会への議案上程を経て、年内に市と契約を交わした上で、118億円(予定)で用地を取得し、21年度末の運用開始を目指して事業に着手する。施設の目玉となるキッザニアは、999年にメキシコで誕生した4~12歳までの子どもを対象にした職業体験施設。同国では、小学校の課外授業の一環として定着しており、東京都中央区(現在は江東区に移転)に06年にオープンした東京店は、海外第1号として話題を呼び、東京電力(当時)がアクティビティ(協力企業)として参加した(その後、東日本大震災の被災に伴う事業合理化により、11年3月で出展を取り止め。現在は東京ガスがアクティビティとして参加している)。その後、関西電力をスポンサー企業に、キッザニア甲子園が兵庫県西宮市に09年にオープン。関西電が同施設内で運営するアクティビティは、高所作業車に乗って送電線の修復作業を行う―という本格的なもので「開館以来、高い人気を持つ」(キッザニア甲子園)という。
九州電が誘致に協力するキッザニア九州(仮称)は、国内3施設目となるもので、九州電は、キッザニアにアクティビティとして参加・出展する方針であるほか、九電工が熊本県天草市で運営する自社直営の体験農園「天草オリーブ園AVILO(アビーロ)」での豊富な実績を活かして、ららぽーと内に同種の体験農園「アグリパーク」を設けるほか、施設全体にわたって環境に配慮した最先端の省エネルギー技術を導入して、地域経済の発展を支える考えだ。