規制委 キャニスタでの乾式貯蔵で技術要件調査
原子力規制委員会は今年度、キャニスタを用いた使用済み燃焼の乾式貯蔵について、安全規制に関する技術要件の整備に向けた海外事例調査を実施する。海外における関連技術要件について、網羅的に調査した上で、既存の国内要件と関連規制との比較レビューを実施。不足している、または拡充が望ましい技術要件・技術的知見を抽出する。具体的には、キャニスタを用いた乾式貯蔵を採用または計画している、カナダ、中国、ハンガリー、韓国、ロシア、台湾、ウクライナ、スペイン、ドイツ、英国、米国の計11か国を対象に、使用済み燃料、ガラス固化体、燃料デブリ、破損燃料などの乾式貯蔵施設における技術要件を調査。キャニスタを用いた乾式貯蔵に関する国内の技術要件と規則「コンクリートキャスクを用いる使用済燃料貯蔵施設の安全審査に係る技術要件」「廃棄物管理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」との比較レビューをそれぞれ実施する。同レビュー結果や国内の現状を踏まえて、、技術的に不足している知見と充実が望ましい事項、各貯蔵方式における共通要件、各貯蔵方式に固有の要件などを抽出する。
さらに規制委は、同調査の対象とするボールト方式、サイロ方式、コンクリートキャスク方式、半地下方式といった各貯蔵方式において、共通の要素であるキャニスタの重点課題を検討。具体的には、キャニスタの腐食防止に関する調査として、大気中の海塩粒子のキャニスタ表面への付着機構、影響因子や、腐食防止に応用可能な構造物表面への塩分付着量評価モデルを調査すると共に、キャニスタ蓋溶接部の検査方法・検査基準に関する調査に取り組む。乾式貯蔵に関して規制委は現在、中部電力・浜岡原子力(計362万㎾)と、東京電力ホールディングス、日本原子力発電が出資するリサイクル燃料貯蔵の施設について審査を実施。今年5月には四国電力が、23年度の運用開始を目指して伊方原子力(89万㎾)内に建設を計画する乾式貯蔵施設に関する、原子炉設置変更許可申請の提出を受けた。