エネ庁 国の主導的関与で洋上風力導入を加速
経産省エネ庁は、洋上風力の案件形成における初期段階から、政府が主導的に関与し、より迅速・効率的に調査などを実施する仕組み「セントラル方式」に基づくサイト調査を通じて、同風力導入の加速化を推進する。洋上風力の案件形成における課題として、複数の事業者が同一海域で行う重複した調査は、非効率であるほか、それに伴う地元漁業での操業調整などの負担が生じている。これらの課題を解消するため、セントラル方式の一環としてエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、風況や海底地盤調査を実施。調査結果について同庁は、公募に参加する事業者に提供し、公募で選定された事業者からは、調査に要した費用を回収する方針で、昨年度から調査を開始した。
昨年度から、①北海道岩宇・南後志地区沖、②北海道島牧沖、③北海道檜山沖を対象に、風況、海底地盤などの調査を行っており、今年度は昨年度予算36億円を大幅に上回る65憶円を確保。①と②のさらに沖合いの海域に加えて、山形県酒田市沖で調査を実施する。さらに来年度は、EEZ(排他的経済水域)における洋上風力設備の基本設計に必要な、調査データの取得に向けて、適切な調査手法などの検討を推進するため、96億円を概算要求している。
また、再生可能エネルギー海域利用法の対象案件は、系統確保に関しても、セントラル方式に基づき、国が系統接続に関する交通整理を行うスキームを適用することを原則として、合理的な系統接続の方針を整理する取り組みを進めているところ。これまでは、個別の事業者が確保した系統接続契約について、発電事業者公募に活用し、選定された事業者が、その系統を承継することを前提とした制度運用を行っていたが、適切な出力規模でない可能性や、複数事業者による重複した系統確保が課題となっていた。