エネ庁 電力データ提供システムの統合提起
経産省エネ庁は、一般送配電事業者が保有する電力データの提供システムについて、統合することを提起した。20年の電気事業法改正により、電力データを自治体や民間企業などに対して提供できる仕組みを措置。22年に一送電10社とデータ利用者(今年10月時点で56社・団体)による「電力データ管理協会(電管協)」が設立され、データを安全・適性に利用・提供できる環境を整備した。データ提供にあたっては現在、一送電各社の託送システムから電力データを集約し、利用者に提供できる「集約システム」と、本人同意の管理や、データ提供時のアカウント管理を行う、電管協が管理する「協会システム」が連携して行っている。
これら2つのシステムで構成する、データ提供システムについては当初、一体的な運用を目指していたが、開発タイミングのズレなどにより、システムが分離した経緯がある。その結果、両システムの連携・運用や、個人情報保護法の義務履行のためのデータ管理に掛かる事務コストが、データ集約を担う送配電システムズと、電管協の双方に発生しており、同庁は、両システムを統合し、一元的に一送電が所有・管理することが適当―との考えを示したもの。
両システムを統合することで、事務コストの削減に加えて、一体的な改修・運用が可能となり、システム費用の削減、効率的運用につながることを想定する。システムの統合・保守に関する費用については、一元的に一送電が、託送料金を活用して所有・管理した上で、統合・保守費用を、認定協会とデータ利用会員が負担する利用料金で事後的に回収することを提案。改修費用の削減効果を早期に実現するためには、検討中の他の改修に合わせて、可能な限り早期にシステム統合することが望ましい―との考えを示した。
他方で、電管協の調査から、データ利用会員数は増加しているが、個データの利用意向は低下傾向にあることが判明。利用者が想定よりも伸びていないことによる、利用料金の値上げリスクなどが発生し、その結果、さらに利用が減る―という悪循環につながる可能性を同庁は懸念する。現時点で、利用意向が伸びていない、公益性が広く認められるようなサービスの実現には至っていない―ことを踏まえ、同サービスの提供にあたっては、従来通り受益者負担の原則を維持することが適当―とする一方で、システムを統合し、一送電による所有・管理の必要性を示している。