エネ庁 入札結果踏まえ非化石証書見直し検討
経産省エネ庁は、今年度第1回目の再エネ価値市場における入札結果などを踏まえて、非化石証書の電源証明化に向けた検討を深める考えを示した。再生可能エネルギーをはじめとした非化石エネルギーの利用や、化石エネルギーの有効活用に関する「エネルギー供給構造高度化法」を16年に見直し、30年度の非化石電源比率目標を44%以上とする目標を小売り電気事業者に定めた。同見直しに伴い、同目標の達成が困難な非化石電源を持たない事業者や、取引所取り引きの割合が高い新規参入者の達成を後押しするため、非化石電源の価値を顕在化し、取り引きを可能とする非化石価値取引市場を創設したもの。創設に先立って同庁は、カーボンフットプリントの計算を目的とする、電源証明の性質を有するものとするか、再エネ価値の訴求を重視した証書とすべきか―について検討。当面は再エネ価値訴求型とし、将来的には電源証明型を目指す方向性を示した。
非化石証書について、同庁はこれまでに、国内外の動向や証書を活用する事業者ニーズを踏まえて、機動的な制度見直しに取り組んできた。同見直しの一環として、今年度の第1回オークションから、入札時に希望する電源の属性情報(トラッキング情報)を明示する仕組みを導入。このほど開催した有識者会合では、見直し後初となる同オークション結果を報告し、同見直しによる約定価格への影響は限定的だが、入札行動の変化が見られた―と分析した。
同オークションの約定量は、前年度第1回の約2倍増144億kWhとなり、参加企業数も前年の約200社から約240社へと20%程度増加。一方で、平均約定価格は、これまでと同様の最低価格水準(0.4円/kWh)で、最低価格での応札が多くを占めたが、昨年度との比較では、最低価格よりも若干高い価格帯(0・41円/kWh)での入札量が、1.3億kWhから14億kWhへと増加した。さらに、地域の属性情報を指定した「買い入札」の割合は、kWhベースで全体の8%(優先割り当てを除く)と限定的だったが、件数ベースでは同47%を占め、一定の需要があったことが明らかとなった。
応札量が顕著に増えた今年度の入札結果について同庁は、世界的な脱炭素化に向けた取り組みの進展や、国内でのGXに向けた機運の盛り上がりが背景にある―と指摘。その上で、今後の非化石証書のさらなる見直しでは、需要家のニーズに応える仕組みが必要不可欠―としており、電源種ごとの対応、需要家ニーズを踏まえた取り引きが可能で、電源種別の需給を反映した複数の価格形成ができる―と整理する、証書の電源証明化に向けた検討を進める考え。