主な記事 詳細

過去の主な記事

エネ庁 海外事例踏まえCCS支援検討加速

 経産省エネ庁は、CCS(CO2分離回収・貯留)事業への円滑な参入・操業を可能とする支援制度に関する検討を加速する。既報の通り、カーボンマネジメント小委員会を通じて、〇CCS事業の自立化に向けた道筋、〇予見可能性・実現可能性が高く、事業者による自発的な効率化を促す制度の在り方、〇CCSコストのうち価格転嫁できる部分の支援制度上の評価方法、〇他の脱炭素手段と比較した際のコスト、自給率、導入時間軸、導入時のハードル―といった制度検討での課題を例示。海外で先行するCCSの事例を基に、支援制度やファイナンススキームついて深堀りすると共に、将来的な自立化を見据えた、コスト削減を図る取り組みなどを論点として、検討を進める考えを示した。

 CCSは、化石燃料の燃焼や、鉄、セメントなどの製造過程など、電化や水素化ではCO2排出が避けられない分野でも、排出を抑制できるため、カーボンニュートラルの実現、エネルギーの安定供給、国内産業維持の両立に不可欠な手法とされる。昨年12月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)でも、脱炭素化方策の一つとして位置付けられ、欧米などを中心にCCSの導入計画が急増している。

 国内ではこれまで、貯留適地調査をはじめ、分離回収・輸送・貯留の各段階での技術開発・実証、国際的な取り組みなどにより、CCSを行うための制度整備や、CCSバリューチェーン全体でのビジネスモデル検討が開始できる段階まで進捗。エネ庁は、30年の事業開始を目指して、26年頃の投資決定と時間軸を合わせ、支援制度の在り方について検討を進めており、年内にも同制度のたたき台を提示し、来年夏ごろを目途に中間取りまとめを行う考え。