エネ庁 経過措置料金の意義、役割り再整理
経産省エネ庁は、低圧需要家向け小売り規制料金の経過措置について、将来的に解除する場合の課題や、同課題の解決に向けた論点の整理を進める必要性を提起した。13年2月に策定された、電力システム改革専門委員会報告書は「小売り参入の全面自由化後しばらくは、需要家保護を図るべく、激変緩和のための経過措置期間を経た上で、料金規制の撤廃を行うことが適当」と指摘。16年の小売り全面自由化に際して、低圧を対象に規制料金の経過措置を設定した。同経過措置の解除基準については、19年に電力・ガス取引監視等委員会において議論され、〇消費者の状況、〇競争圧力、〇競争的環境の持続性―の観点から、同基準に基づいて同委が毎年、競争状況の確認を行っている。
24年3月時点で、シェア5%以上の競争者が存在する区域は、北海道、東京、中部、関西、沖縄の5区域となっているものの、解除基準とするシェア5%以上の競争者が2者以上存在する区域は未だない。現時点で、経過措置料金の解除が妥当な状況にある―と評価された地域はなく、同庁は、解除基準を踏まえた競争状況の確認を継続することが必要―と判断。他方で、経過措置料金の存在自体が、競争の妨げになっているのではないか―との指摘もあり、現在進めている電力システム改革の検証において、これまで経過措置料金が果たしてきた役割りや、競争に与えた影響を確認した上で、今日的な意義や役割りを再整理する。併せて、低圧における最終保証供給の在り方など、経過措置料金を解除する場合の課題についても検討を進める考え。