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エネ庁 局地的大規模需要へ先行的対応検討

 経産省エネ庁は、電力ネットワークの次世代化に向けた課題に挙げる、局地的な大規模需要の発生を見据えて、大規模需要の把握、計画的・先行的な系統整備、整備費用の確実な回収・偏らない負担の仕組み―などの対応を検討する。近年、データセンターなどの大規模需要家の国内立地が進む中で、一部の需要家が、土地取得などの必要な手続きの前に、一般送配電事業者へ接続供給の申込みなどを行うことで、事前に電力供給の枠を抑える「仮押さえ」を行い、その後の事業判断で実際の接続を検討するケースが存在。そうした事態について同庁は、効率的な系統整備や、真に必要な事業者への電力供給といった観点から懸念する。
 東京電力パワーグリッドでは、供給開始から3年以内に、最大契約電力に達することを求めることで、同事態を回避する。最大契約電力に達せず、協議の上、変更申込みを受領した場合は、減少契約電力分の系統容量を解除すると共に、過剰設備の構築に要した費用と、工事費負担金(契約減少に伴う返却分)の差額を徴収する仕組みを設けている。発電側には、接続検討の申込み時に、検討料を支払うこととしており、そうした対応を含めて同庁は、大規模需要立地の見通しを正確に把握するための仕組みを検討する。
 足元では一送電が、早期に電力供給を開始できる場所を示した「ウェルカムゾーンマップ」の公開を進め、全事業者が今年度中にも公開する見通し。同庁は、同マップの全国展開を通じて、適地への大規模需要の誘導を促す考えだが、今後の需要急増を見込んで、さらなる対策の必要性も指摘。その都度、個別の案件ごとに整備などの対応を行えば、非効率・非計画的な整備となり、一送電における系統整備の施工力面などでも、課題が生じることを懸念する。大規模需要の局地的な発生を見据えて、効率的な系統整備などの観点から、適地への集約的な誘導や、適地における先行的・計画的な系統整備が有効―との考えを示した。
 特定の需要家に系統整備の費用負担が偏らない仕組みとしては、大規模需要家が、適地に集約的に立地することを促す仕組みを例示した。なお、一送電が提供するウェルカムゾーンマップでは、電源側の情報公開に比べて、需要側への情報公開が限定的―との指摘もあり、一部事業者では、さらなる情報公開を検討する。各エリアの特性や需要家のニーズを踏まえて、早期に電力供給が可能であるエリアを需要家が適切に判断できるよう、公表範囲の拡大や、需要側向け供給余力マップの公開などの検討を進める。電力広域的運営推進機関の今年度需要想定では、データセンターや半導体工場の新増設により、今年度は48万㎾、33年度には537万㎾の最大電力需要の増加を見込んでいる。