エネ庁 原子力運転延長要件を社内規定で確認
経産省エネ庁は、昨年6月に成立した改正電気事業法で定める、原子力の運転延長における認可要件について、行政手続法に基づく審査基準を定める。同法では、原子力利用政策の観点から、運転期間に関する規律を整備。運転期間に最長「60年」という上限を設ける、大きな枠組みは維持した上で、事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外することを定めた。同制度における、運転延長の認可要件に関する審査基準については、同制度が施行される来年6月6日までに策定することが必要となる。このほど開催した原子力小委員会に対して同庁は、同審査基準の考え方・内容に関して、これまでの委員意見などを踏まえて整理した。
同認可要件のうち「その原子炉が、平和の目的以外に利用されるおそれがない」「炉規法に基づく原子炉の設置許可の取り消しや運転停止命令、長期施設管理計画の認可制度において、不認可の処分を受けていない」「その原子炉を運転することが、非化石エネルギー源の利用促進を図りつつ、電気の安定供給を確保することにつながる」といった、各要件については、法律の規定をもって審査の基準が明らか、または判断可能な状況にある―との考えを示した。
さらに「発電事業に関する法令遵守の態勢を整備している、その他事業遂行態勢の見直し・改善に継続的に取り組むことが見込まれる」との要件に関しては、これまでの原子力小委における、自主的安全性向上などに関する議論の取りまとめや、原子力基本法に規定される原子力事業者の責務を勘案し、事業者の社内規定などで確認することを提案。法令遵守態勢の整備、安全性の向上、防災対策に関する取り組みについて、不断の改善を図るため、〇社長をはじめとする経営層の意思決定による必要な改善、〇外部の有識者で構成される組織を設立し、同組織が定期的に評価・提案、〇原子力安全推進協会(JANSI)・世界原子力発電事業者協会(WANO)による評価、〇原子力エネルギー協議会(ATENA)が決定した安全対策の実施、〇原子力部門から独立した社内組織による監査、〇改善に取り組む仕組みの有効性評価―などの取り組みを確認する。