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送配協 国内外の超高圧工事コスト比較分析

 送配電網協議会(会長=清水隆一・中部電力パワーグリッド社長)は、超高圧の変圧器工事と架空送電線工事における海外とのコスト比較について、このほど開催された電力・ガス取引監視等委員会の送配電効率化・計画進捗確認WGで説明した。各一般送配電事業者が、17~22年度に竣工した超高圧(187㎸以上)の変圧器工事(全83台)と、架空送電線工事(全36線路)の実績を調査。さらに、両実績データと海外の公開データを基に、為替レートなどを反映して比較し、事務局が検証した上で同WGに示した。
 同比較では、日本における超高圧変圧器工事の台数・容量あたりの各コストは、設備の設置環境や設計条件などが異なるものと想定されるため、単純比較できないことに留意する必要はあるものの、台数あたりのコストは、国内の方が欧州より高額である一方で、容量あたりでは、欧州より低い傾向にあることが分かった。米国とは容量あたりのコストで同水準(台数あたりデータ無し)となっており、同協議会は、日本は欧州に比べて、変圧器1台あたりの容量が大きいことが要因ではないか―と分析。変圧器は、同一電圧で容量が大きいほど、より電流も大きくなり、機器が大型化するため、台数あたりでは高額になる―とした。
 また、欧州と比較して需要密度が高いため、効率的な設備構成を志向した結果、小容量の変圧器を多く設置するよりも、大容量の変圧器を少数設置することになり、容量あたりの単価が低額となっている―と想定。そのほか条件の差異としては、海外と比べて耐震設計レベルが高く、漏油防止対策などが必要となる場合があることを指摘した。
 超高圧架空送電工事に関しては、同送電線の単位亘長あたりのコストが、欧州より高い傾向にあり、米国とは同程度であることが判明。国内の超高圧架空送電線は、平地が少なく、市街地などでは施設制限があり、山間部を経由する場合が多い。山間部での建設においては、資機材の運搬などに制約が生じ、仮設規模が大きくなるほか、樹木との離隔を確保するため、鉄塔高を高くする必要がある―といった国内工事の特徴を挙げた。また、国内の超高圧架空送電線では、高い需要密度に対応するため、大サイズ電線や多導体を採用することが多く、小サイズ電線や単導体に比べて、鉄塔の設計荷重が大きくなることなどを説明した。
 同協議会は、これらの結果を踏まえて、国内実績と海外の公開データは、設備の建設環境や設計諸元などが異なり、単純比較できないことに留意が必要―とした上で、今後も海外の動向把握に努め、効率化につながる取り組みについては、国内展開の可能性がないか、検討する考えを示した。