エネ庁 再エネ長期電源へ事業集約の課題整理
経産省エネ庁は、再生可能エネルギーの長期電源化に向けた「事業集約」にあたっての課題を整理した。再エネの長期安定的な大量導入と事業継続を促進するため、長期電源化をはじめ、再エネ電源が有する便益が適切に評価される事業環境の整備や、FIP制度の活用促進、事業規律の確保などを論点に、再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で議論を進めているところ。このうち長期安定的な再エネ事業の継続には、特に調達・交付期間が終了したFIT・FIP電源に対して、再投資や事業集約を促すことが重要―との考えを提示。同論点について同庁は、このほど開催した同小委において、欧州に比べて低圧の事業用太陽光が非常に多く、設備の所有者も分散しているなど、国内再エネ事業の構造的な課題を示し、議論を求めたもの。
国内の事業用太陽光は、各地で独立した様々な小規模事業が存在するのが特徴で、そうした「多極分散型構造」は、系統負荷の低減や災害時のレジリエンス強化といったメリットを有する一方で、事業集約を図る上では、取り引きコスト、集約後の管理コストの増大につながる恐れがある。また、発電までのリードタイムが比較的短い太陽光では、多様な事業者の新規参入が散見され、安全・防災面、景観や環境への影響、将来の廃棄などに対して地域の懸念が高まっている。そうした中で事業集約を進めるには、買い手は、対象事業が適格性を有する事業であるかどうか―を見極める必要がある。さらに買い手には、長期安定稼働のノウハウや、資金調達・ファイナンスの円滑化が求められる。
これらの課題を整理した上で同庁は、地域との共生を図りながら、長期安定的に事業を実施できる事業者へ集約されることが重要―と指摘。先行的な事業者のビジネスモデルについても期待しており、事業購入時に併せた設備改修により、発電量を増加させる事業や、蓄電池・デジタル技術と組み合わせて、市場価格に応じた電力供給を行う事業などを例示し、事業集約の促進と同時に、新たなビジネスモデルの確立に向けた検討にも取り組む考えを示した。