経産省 次世代太陽光の経済効果50年7兆円
経産省は、次世代型太陽電池の導入拡大により期待される、世界のCO2削減効果を、30年約60万tから約200万t、50年約1億tから約2.3億tに、日本企業のターゲット市場規模を、30年約125億円から約1750億円、50年約1・25兆円から約7兆円にそれぞれ見直した。グリーンイノベーション基金事業として実施する「次世代型太陽電池開発プロジェクト」の研究開発・社会実装計画を改訂し、「ペロブスカイト型太陽電池の実証規模拡大」について追加するのに伴い、同太陽電池の導入拡大による削減、経済効果に関しても、21年に行った試算結果を見直したもの。
太陽光の普及拡大が進む中で、適地が不足している国内では、既存技術で設置できない場所へ導入を進めることが期待されており、電池の軽量性や壁面などにも設置可能な柔軟性を兼ね備え、性能面でも既存電池に匹敵する、次世代型太陽電池の開発が不可欠となっている。その中でも、有機系のペロブスカイト電池は、直近7年間で変換効率が約2倍に向上。シリコン系の太陽電池と比べて約4倍のスピードで効率化が進んでおり、現在普及している太陽電池の95%以上を占める、シリコン系に対抗し得る太陽電池として有望視されている。そうした状況を踏まえて同省は、グリーンイノベーション基金を通じて、研究開発段階から製品化、生産体制などの基盤技術開発、実用化・実証まで一気通貫で取り組む方針で、30年の社会実装を目指して、様々なフィールド実証など、実証事業の規模を拡大する。
海外でも屋根置き太陽光の設置が進む見通しで、同省は、先行的に課題に直面する日本初のイノベーションにより、今後拡大が見込まれる次世代型太陽光市場の獲得を目指す。他方で、国内での次世代型太陽電池の研究開発については現在、世界でトップクラスの技術力を有しているが、既存の太陽電池分野では、トップクラスの技術を有しながら、量産に向けた生産体制の構築競争に遅れを取った―と指摘。そのため同プロジェクトでは、産学官の連携に加えて、開発事業者と、住宅メーカー・ゼネコンといったユーザー企業などとの連携体制を構築し、ユーザー企業などのニーズをあらかじめ取り込んだ、技術開発を同時・平行で行って、国内外の市場開拓、製品の信頼性獲得につなげる。
国際エネルギー機関(IEA)は、21年における太陽光の市場規模を約25兆円としており、同試算を基に同省は、30年時点では同市場の1%を次世代型太陽電池が占め、同電池の市場規模が約2500億円になる―と想定。日本企業のシェアについては、21年の世界太陽電池市場における国別世界トップシェアである、約70%と仮定して試算を行い、経済波及効果が1750億円となる見通しを示した。