日本調理技術学校 和食を通じて風評被害対策推進
国連教育科学文化機関(ユネスコ)から無形文化遺産に登録された「和食」を前面に打ち出して、世界中から若い、次世代料理関係者を福島県に呼び込むことで、食材の魅力をアピールすると共に、県産品の安全性やALPS処理水の海洋放出に関する正しい理解を拡大・浸透させるユニークな取り組みが10月からスタートする。福島県郡山市の日本調理技術専門学校が主導する同プロジェクトは、ユネスコ登録によって世界的な感心を集めている和食に興味を待つ世界各地の「料理人の卵」を福島に招聘し、県産食材を使った和食の技術を伝えると共に、滞在中、東日本大震災・原子力災害伝承館などを見学させて、復興の歩みを体感してもらいながら、ALPS処理水の海洋放出に関する安全性や福島第一原子力の廃炉についても正しい理解を促し、帰国後に国際社会に広く情報発信してもらうことで、風評被害の払拭につなげる―という食文化伝承&広報事業。
第1弾として10月17日より、同校と連携協定を結ぶ仏ギヨーム・ティレル高校(パリ市)の学生視察団を迎える。14世紀の仏宮廷に仕え、フィリップ6世やシャルル5世などの「王の料理人」として名を馳せたギヨーム・ティレルの名称をいただく同校は、料理や栄養学を学ぶ計550人の生徒が通うパリ市イルドフランス地域圏運営の公立学校。同校視察団の受け入れは、昨年9月に両校が交わした前記協定に基づくもので、ティレル高校の生徒12人(予定)を9日間にわたって迎え入れ、出汁の概念や作り方など和食の料理方法を指導すると共に、前記施設のほか郡山市内の鈴木農場などで視察会を実施する。同プロジェクトについて、同校は「交流を通して海外の学生に、本当の福島を知って欲しい」(鹿野正道校長)と期待しており、経産、農水両省や復興庁、県、市なども取り組みに注目している。