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Jパワー 既設電源・送電線維持の重要性指摘

 Jパワーは、カーボンニュートラルと安定供給の両立には、既設電源などの維持が重要―との考えを示した。今月9日に開催された、経産省エネ庁の「将来の電力需給に関する在り方勉強会」で、事業者の立場から既設維持の重要性を説明すると共に、その維持・拡大に向けた課題を示した。同勉強会は、10年超先の電力需給について、「あり得るシナリオ」を関係者間で共有することを目的として、今年4月に同庁が設けており、今後は議論の場が電力広域的運営推進機関に移され、同シナリオの検討を進める見通し。
 既設火力の退出が進む中で、供給力の積み増しは不可欠となっており、新設の再生可能エネルギー電源が追加性の電源となるためには、既設再エネの㎾・kWhの維持・拡大が重要―と同社は指摘。水力・揚水の㎾・kWh拡大に向けた設備投資や、寿命を迎えた風力のリプレース、風車大型化など、様々な手段を適切に選択していくことが、現実的な脱炭素電源の導入拡大に有用となる。このうち、水力については、老朽化した設備の大規模更新や、ダムの堆砂処理などの維持管理も含めた適切な整備により、大型水力の供給力を維持するほか、至近の需給逼迫時の揚水の稼働状況を踏まえて、安定供給や再エネの出力変動への対応、下げ調整力不足への対応などの観点から、既存の大規模揚水を適切に維持していくことが、極めて重要―と強調した。
 一方で、供給力の維持と共に、送電線、地域間連系線の維持についても、その重要性を説明。マスタープランによる連系線増強が検討される中で、地域間の連系線容量を増やすには、経年化が進む既設連系線の連系容量を適切に維持することが大前提になる。ノンファーム型接続の本格導入などで接続する電源が増加し、送電線の更新工事計画と、発電設備の投資計画をいかに同調させていくか―が課題として顕在化しつつあり、発電、送配電のコミュニケーション醸成、公平性・透明性担保の両立が求められる―とした。