規制庁 福井の集中クリアランス事業への対応
原子力規制庁は、福井県が事業化に向けた検討を進めている、原子力の解体廃棄物を対象とした「集中クリアランス事業」について、規制上の論点などを検討するため、経産省エネ庁、福井県、必要に応じて原子炉設置者との間で、意見交換を行う場を設置する。着実な廃止措置に向けて、クリアランス対象物の再利用に関する取り組みを強化するエネ庁と、今年3月に面談した際に、規制当局などと意見交換の場を設けて欲しい―との福井県の要望が示されたのを受けて検討。原子力規制委員会の了承を得てこのほど、意見交換を行う公開の場を設けることを明らかにした。
福井県は、県内原子力で発生する解体廃棄物のうち、クリアランス制度を活用して再利用するものを、新たに設立する事業主体が受け入れ、集中処理する事業の具体化を進めている。新規事業主体は、受け入れたクリアランス推定物を分別・除染・切断、溶融処理した後に、原子炉等規制法に基づくクリアランス確認を行い、クリアランスできたものは再利用し、クリアランスできなかったものは、原子炉設置者に返還する仕組みを想定している。同事業に対して規制庁は、現在把握している内容を基に論点を挙げた。
具体的には、新規事業主体に対しては、放射性廃棄物を取り扱う廃棄事業者としての許認可が必要であると共に、原子炉設置者が、事業主体から返還される放射性廃棄物を受け入れるためには、廃棄事業者としての許可を取得する必要性を指摘。現行のクリアランス制度は、クリアランス対象物の放射能濃度が、クリアランスレベル以下であることが十分予測できるものを対象としており、クリアランスレベルを超える汚染のあるものをクリアランスレベル以下のものと混ぜ合わせる行為を想定していない。また、放射性物質の放射能濃度の測定・評価の方法、品質保証について定めている現行の審査基準は、溶融処理後の物で確認を行うこと、確認を行う者が原子炉設置者とは異なる者であること―を想定しておらず、これらの論点について同庁は今後、事業の詳細や安全確保上の措置などに関する説明を、エネ庁、県から受けた上で、技術的な課題を整理する考え。