エネ庁 長期契約で小売りの安定・競争両立
経産省エネ庁は、小売り電気事業者の安定と競争を両立する仕組みを構築するため、長期契約を促進する措置を検討する。一部の事業者が長期的に電源を独占・寡占して、競争の不活性につながることが無いよう留意した上で、長期契約の期間や規模、長期契約を促すための対応、長期契約での変動価格の設定などを論点に検討を進める。内外無差別な卸取り引きの契約期間は、1年ものが太宗を占めており、旧一般電気事業者の発電部門などとの相対卸取り引きでも、公平で安定的な長期契約を促す措置を具体化する。
同庁は今年2月から3月にかけて、自治体・一送電などを除く、発電容量(㎾)上位67社の発電事業者と、全小売り事業者を対象に「競争と安定を両立する市場・取り引き環境の整備のためのアンケート調査」を実施。発電30社、小売り206社から回答を得ており、同回答を単純平均した結果、1年超の契約を希望する事業者は、発電事業者で8割程度を占め、小売り事業者は3割程度であることが分かった。さらに、発電実績や需要実績により、回答に重み付けを行った場合は、発電事業者、小売り事業者共に5割程度が1年超の契約を望んでいる―との結果になった。
また同アンケートでは、長期契約の課題として、〇発電機の固定費や変動費(燃料費)の回収が可能か、〇燃料価格、為替、電源構成、物価変動、電源脱落などのリスク、政策変更などのリスク、市場分断の値差リスク―といった不確定要素を踏まえて、契約条件を発電・小売りで折り合うことができるか、〇長期契約の場合の適正価格が分からない、〇小売り事業者が締結している契約と、発電事業者の燃料調達のインデックスの差異に起因した収支リスクの発生、〇規制料金が最も競争力のある価格となる環境は、長期契約の障壁―などの声が聞かれた。これらの点について同庁は、売り・買い双方の認識のギャップに基づくものも多く、ある程度取り引きを重ねていく中で、収斂をさせていくことが可能という面もある―との考えを示している。
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