環境省 洋上風力のアセス迅速化へ検討加速
環境省は明日11日、洋上風力の新たな環境影響評価に関する検討会の初会合を、対面・オンライン併用で開催すると共に、傍聴者向けのライブ配信を実施する。立地や環境影響など洋上風力の特性を踏まえた環境アセスについて、経産、国交両省などの関係府省と連携した議論を進め、今夏を目処に方向性を提示する考え。同風力の環境アセスに関しては、同風力の促進制度である「海洋再生可能エネルギーに関する海域利用促進法」が18年に制定され、事業を実施可能な「促進区域」を国が指定し、公募により事業者を選定する仕組みが導入された。一方で、同制度は環境影響評価法・電気事業法とは独立した制度であるため、並行して適用されることで、運用上の課題が指摘されており、昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画は、環境アセスの最適な在り方について、関係府省、地方公共団体、事業者が連携して検討し、速やかに結論を得ることを求めた。
同計画を受けて同省は昨年度、現行の環境アセス制度の施行状況を踏まえた諸課題を整理。同年度末に「洋上風力発電の環境影響評価制度の諸課題に関する検討会」の報告書として、同風力の新たな環境アセス制度を議論するための論点を取りまとめた。具体的には、洋上風力導入の円滑化と、洋上風力事業への理解醸成・受容性向上の実現を目指して、〇再エネ海域利用法に基づくプロセスと環境アセス制度の連携、〇事業者の予見可能性確保、〇環境影響の相互理解のために必要な、関係者とのコミュニケーションの確保、〇事業者選定後のアセス迅速化―などの視点から、新制度に関する論点を提示。促進区域の選定段階における環境配慮のための手続きや、再エネ海域利用法に基づく事業者公募前の環境影響評価手続きの一部を、国(環境省)が実施する「セントラル方式」などに関する考えを示した。
同方式によるアセス手続きについて同省は、海域の状況に応じた調査の項目・手法、区域、期間や、調査結果の活用方法などを整理し、公表した上で、必要な現地調査などに取り組むことを提案。将来選定され得る事業者の事業形態の大枠についても整理し、アセスの設計を行う考えで、同設計のタイミングや、同省と事業者の役割分担による責任所在、費用分担の考え方などを今後の課題に挙げている。