原賠機構 東電EP収支リスクアドバイザー募集
原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、東京電力エナジーパートナー(EP)における収支リスク管理・対策の高度化に関するアドバイザーを募集する。東電ホールディングス(HD)と共同で策定し、21年8月に認可された第四次総合特別事業計画の確実な履行に向けた措置として実施。廃炉・賠償費用を長期にわたり安定的に捻出すると共に、ウクライナ情勢を背景とした、電気販売事業における収支リスクの顕在化を踏まえた収支対策を強化するため、同取り組みに必要な専門性を有するアドバイザーを募集。今年度末までの予定で、〇収支リスク要因の分析・特定など収支リスク管理の運営・高度化支援、〇安定的な利益の確保を実現するための中長期における最適な調達手法の検討・提案、〇収支対策の実行に必要となるヘッジ手段などの拡充に向けた検討支業務―を同アドバイザーへ委託する。
同アドバイザーに対しては、これらの業務実施でのプロジェクト体制を構築することを求める。具体的には、プロジェクト責任者1人、プロジェクトなどの実態把握・進捗管理・モニタリングの実施者2~3人程度の体制を想定する。同アドバイザーの募集について同機構は「福島責任の貫徹にあたり、電気販売を担う東電EPが安定的に利益を確保していけるよう、収支リスクの管理や対策の高度化を支援することは機構業務に必要不可欠」との考えを示した。
なお、東電EPの22年度第3四半期決算における経常損益は、燃料・卸電力市場価格の高騰などに伴う電気調達費用の大幅な増加などにより、前年同期比3266億円減少し3689億円の損失となった。今年1月に経産省へ申請した規制料金の値上げに関しては、その後の燃料価格や卸電力市場価格の市況を反映し、両価格の前提を見直した上で3月に再申請しており、値上げ幅を当初の平均29・3%から17・6%に引き下げた。同引き下げに関しては、秋本展秀・東電EP社長(当時)が会見で、「値上げ幅を引き下げたが、お客様に負担をかける状況に変わりはない。経営の徹底した合理化やお客様の負担軽減につながる取り組みを進めたい」と述べた。一方で、値上げ幅の設定では、柏崎刈羽原子力7号機(135・6万㎾)が今年10月に再稼動することを見込んでおり、今月1日に同社社長に就任した長崎桃子・東電HD常務執行役は、新聞社の取材に対して、同原子力の再稼動が想定より遅れた場合の再値上げについては「全力で回避したい」との考えを示している。