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エネ庁 最終保障原資の市場調達を一時中止

 経産省エネ庁は、一部新電力の撤退や燃料高騰を受けて、22年3月以降に急増した最終保障供給契約における、スポット市場での原資調達について、一時的に中止した上で入札条件などを検討し、再開の是非を判断する考えを示した。既報の通り同調達に関しては、単価の高い調整力からの調達を回避するため、スポット市場での調達を認めてきた。一方で、そうした調達は今年3月末まで―としており、このほど開催された電力・ガス基本政策小委員会で同庁は、一般送配電事業者の同調達による、スポット市場への影響分析結果などを踏まえて、今後の対応を示したもの。
 同調達について、4月以降の対応を検討するため、最終保障供給契約件数の推移や社会的コストの低減、スポット市場への影響を確認。このうち一送電の試算では、スポット市場で最終保障供給の原資を調達したことで、市場調達を行わずに調整力を用いた場合と比べて、各社のコストが毎月一定程度削減されたことが分かった。そのため同庁は、一定規模の最終保障供給契約が継続している状況においては、スポット市場への影響に留意しつつ、一送電による市場調達を認めることを基本とする―ことを提案した。
 他方、電力・ガス取引監視等委員会の分析によると、複数の一送電において、市場調達に要した費用が、市場調達を行わずに調整力を用いた場合の費用を上回るコマがあったことが判明。同分析に対して同庁は、同分析の対象は一部時間帯に限定されているものの、コスト抑制効果が実現していない以上、現在の市場調達方法に見直すべき点はないかを検討する必要がある―と指摘。一送電による最終保障供給原資の市場調達は、一時中止すると共に、社会的コストの抑制に向けた検討を監視委と連携して行った上で、同供給契約の推移を踏まえて再開の是非を判断する。
 なお、最終保障供給の契約件数は、昨年秋以降から微減傾向にあるものの、今年3月1日時点では4万件弱と依然高水準。今月以降には約2.5万件となる見通しで、引き続き最終保障供給の正常化を目指した対応が求められている。