JICA ヨルダンで国際連系線の敷設支援
JICAは、日本の電力の協力を得て、中東のヨルダンで、国際連系線の敷設を支援する新規プロジェクトを開始する。天然資源の乏しいヨルダンは、同国政府が12年に制定した「再生可能エネルギー・省エネルギー法」に基づいて、再エネの開発を積極的に進めた結果、設備容量に占める再エネの割合が、スタート時のゼロから21年には28%と急速に拡大した。しかし、出力変動性の高い再エネの大量導入により、昼間に余剰電力が発生。そのため、ヨルダン電力会社が発電量を抑制する措置を採っており、今後、需給バランスの安定と計画的な系統運用のために「再エネのさらなる導入を進めながら、柔軟度の高い系統運用を実現するために国際連系線を増強する」(同社)方針を決定した。
同社の計画では、エジプト、パレスチナとの既設連系線を、それぞれ、現在の55万㎾から110万㎾、4万㎾から8万㎾へと増強する予定で、このほか、現在は使用していないシリアとの既存連系線の復活も視野に入れている。さらに新規計画として、イラクとサウジアラビアのほか、オマーンやUAE、カタールなどの湾岸諸国8国に、20万㎾、100万㎾、200万㎾の連系線敷設を予定している。このうち、新規送電線の供用開始は「25~26年頃を目指す」(同)考えで、同計画を着実に履行するため、ヨルダン政府が、同分野で優れた知見を有する日本の電力の協力を求めてきたことから、新たな国際貢献プロジェクトとなる「ヨルダン・イラク・エジプトにおける地域間協力のための電力エネルギーセクターアドバイザー業務」に着手するもの。同業務では、ヨルダンの現下の電力事情にマッチした国際連系線の敷設計画を策定するためのアドバイスと技術供与を、同国の首都アンマン市で今年5月~26年5月までの3年間行う。なお、業務を委託する電力は来月中に決定する。