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経産省 再エネ拡大でJパワー松島計画へ期待

 経産省は、Jパワーが松島火力(石炭、計100万㎾)で実施する「GENESIS松島計画」について、電力の安定供給や早期のCO2排出量低減に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大につながる取り組みである―との考えを改めて示した。同社が昨年8月に届け出た、同計画の環境影響評価方法書に対して、このほど審査書を取りまとめ、981年の運開以降、エネルギーセキュリティ、電力安定供給に大きく貢献する同火力を高く評価した上で、中国電力と共に進める大崎クールジェンプロジェクトで実証したガス化技術を、初めて商用化する同計画への期待を示したもの。
 同計画は、同火力2号機(50万㎾)において、新たにガス化設備を付加することで、従来の出力を維持しつつ発電効率を高めるコンバインドサイクル方式を導入。新設するガスタービンの柔軟な運用により、既設設備と比べて高い出力調整機能を備えるため、再エネの導入拡大で重要となる、調整力の確保に寄与することが評価されている。さらに、最新のガス精製設備(湿式化学吸収法による脱硫、水洗での脱塵)、排熱回収ボイラー内の脱硝装置(乾式アンモニア接触還元法による脱硝)、ガス化炉出口にサイクロン(乾式脱塵)を設置。現状よりも硫黄酸化物、窒素酸化物、煤塵の排出量を削減する計画で、ガス精製設備で除去した硫黄分は既設排煙脱硫装置に導入し、石膏として回収する。
 また同計画では、ガス化炉やガスタービンなどの設置により、CO2排出量を現状から約10%低減するほか、50年カーボンニュートラルへの取り組みとして、バイオマス、アンモニアといったカーボンフリー燃料の導入によるCO2排出量削減の検討に取り組む。同燃料の導入やCCUSの実施に向けて、必要となるエリアを対象事業実施区域内に確保する。Jパワーは、新2号機の24年着工、26年度運開を目指して、21年にアセス手続きを開始。アセス方法書に対して同省は、同社が選定した環境影響評価項目、調査・予測・評価手法を「概ね妥当なもの」との判断を示している。