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Jパワー ダム管理用の獣害防止装置が話題に

 Jパワーが、池原ダム(新宮川水系北山川)の管理業務円滑化の一環として、今年度から導入した獣害防止装置「モンスターウルフ」が、全国のダムマニアなどから注目されている。奈良県下北山村に立地する同ダムは、964年の完成によって形成されたダム湖の池原貯水池(通称・池原湖)が、全国有数のブラックバス釣りの名所となっており、シーズン中は多くの太公望を集める観光スポットになっている。一方で、吉野熊野国立公園に含まれる豊富な自然環境にあるため、野生のサルの出没が頻繁で「サルの集団による、管理棟などダム近辺の建物での糞尿被害がひどかった」(北山川電力所)という。加えて、職員や観光客への噛みつき被害なども想定できることから、同電力所は昨年5月、農産物に被害を及ぼす野生動物を撃退するロボットを販売するウルフ・カムイ(北海道札幌市)の協力を得て、池原ダム管理事務所の屋上展望所へ向かう階段に、同社製作のオオカミ型ロボット「モンスターウルフ」を設置。その結果、「管理棟などにサルが寄り付く頻度が減った」という。
 同ロボットは、眼前に野生動物が現れると、LEDの強烈な光と、オオカミの声を始めとした57種類の大音量(90デシベル)で威嚇する仕組みとなっている。外見が「サルやシカなどが本能的に忌避する野生のオオカミの外観をしている」(ウルフ・カムイ)のも特長で「太陽光とバッテリー充電によって稼働し、メンテナンスもほぼ不要」(同)という優れた性能が評価され、北海道経産局から「北海道の産業発展に大きく貢献した独自開発製品」として、18年の「ものづくり地域貢献賞」に選出されている。このモンスターウルフが、全国のダムマニアから注目されているのは、正月明けの先月8日に、同ダムを訪れて偶然、ロボットの威嚇を受けた人が「コレ怖いよ!」とのタイトルで画像付きで投稿したツイッター。これがきっかけとなって現在、ダムマニアはもちろん、話題の場所やインスタ映えするものに飛びつく若い世代の人気を集めており「当村の認知拡大にも貢献している」(下北山村)という。なお、池原ダムは、同村と上北山村の推薦を受けて05年に、ダム水源地環境整備センターの「ダム湖百選」に選定されている。