低炭素協 火力メンテナンスのCO2抑制効果試算
電力10社・グループ、新電力など国内64社が参画する電気事業低炭素社会協議会は、火力における「経済的に利用可能な最良の技術(BAT)」の導入による、エネルギー原単位の改善とCO2排出量の削減について、昨年度実績を基に「適切なメンテナンスなどにより、火力発電効率の絶対値1%低下を予防することは、約720万tのCO2排出抑制に相当する」と試算した。非化石エネルギー比率の拡大に伴って、火力の調整機能の役割が増し、効率低下が見込まれる中で、電力各社は、熱効率を可能な限り高く維持するための既存設備の改造や適切なメンテナンス、運用管理などに取り組み、火力における21年度のエネルギー原単位はkWhあたり0・199ℓ、発電熱効率は46・2%―と高い水準を維持した。CO2削減効果についても、累計31基の高効率火力が13年度以降導入され、昨年度は同導入により780万t、既設火力の改造などによる熱効率の向上を通じて190万t、計970万tのCO2削減につながった。
16年の同協議会設立以降、非化石エネルギーの利用拡大や、電力設備の効率向上などの継続的な取り組みにより、CO2排出量・排出係数は毎年改善しており、昨年度はそれぞれ3・27億t、0・436㎏と改善。13年度比では1・66億tのCO2削減(▲約34%)、0・131㎏の排出係数改善(▲約23%)効果があった。同協議会が今年6月に公表したカーボンニュートラル行動計画では、政府が示す「野心的な30年度のエネルギー需給見通し」に基づき、30年度に国全体の排出係数実現を目指すと共に、火力の新設などにあたり、プラント規模に応じてBATを活用するなどにより、最大削減ポテンシャルとして約1100万tのCO2削減見通しを提示。同目標の進捗率は昨年度88%に達した。