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エネ庁 小売り事業に対し新たな規制を検討

 経産省エネ庁は、小売り電気事業に対する新たな規制について検討の方向性を整理した。卸電力市場価格の高騰などに伴い、小売り電気事業のリスクが顕在化する中で、新たな課題に応じた規制が必要―と判断。需要家保護や国民負担の抑制の観点から、〇託送料金などの未払い問題、〇小売り登録審査・モニタリングの在り方、〇顧客管理―といった課題を挙げて、検討を本格化する考えを示したもの。
 同庁が実施した小売り実態調査では、「自社の資産などの経営体力を上回るリスクを取らないようなリスクマネジメントを行っているか」という質問に対して、回答者(219者)の64%が「リスクマネジメントをしている」と答えたものの、36%は「リスクマネジメントをしていない」と回答。昨年1月以降に、破産、会社更生、民事再生、特別精算などに至った小売り事業者は、6月28日時点で 20社、休廃止に至った事業者は 同22社となっている。
 そうした現状を踏まえて同庁は、需要家や国に情報提供する主体、情報の正確性確保、需要家における理解容易性―などの観点から、需要家や国が託送料金などの未払い額を把握する方法を検討。国が情報を把握した場合に講じる、ストレステストや行政処分の在り方、託送料金の未払い額以外で、需要家や国が把握すべき未払い額―なども論点に検討する。事業者の市場リスクに対する耐性については、電力・ガス取引監視等委員会を中心に今後、ストレステストの在り方に関する検討を進めると共に、同検討を踏まえて、小売り登録審査やモニタリングの在り方を議論する。
 一方で同庁は、小売り事業者側の課題に加えて、一部の需要家のモラルハザードも課題として提示した。小売り実態調査では、小売り事業者の約4割が、電気料金を未払いのまま需要家がスイッチングする事例を経験しており、事業者の枠組みを超えた顧客管理の仕組みが必要―と指摘。一般社団法人が信用情報の共有を行うことで、未払いを防止するスキームを構築している携帯電話業界の事例を挙げて、情報共有に関する事業者の共通理解を図りながら、同様の仕組みの実現について、検討を進める方向性を示した。