エネ庁 原子力地域の将来描く取り組み強化へ
経産省エネ庁は、原子力に関する「地域との共生」について、現状を整理すると共に、さらなる促進に向けた取り組みに関する課題を示した。長年にわたり、原子力と共生してきた立地地域は、電気業の従業者が多く、また建設業や宿泊・飲食・福祉などのサービス業からなる地場産業のエコシステムが、地域経済において形成されている一方で、同地域の平均的な人口は1万~4万人と、全国平均より減少率が高く、高齢化率が比較的早期に進行する恐れを同庁は指摘。東日本大震災震災後に廃炉決定が増加し、審査が長期化する中で、原子力を中核とする地域の持続性への不安が高まっているのを踏まえて、19年から21年までに立地地域から寄せられた、延べ86通の要望書を基に分析した。
その結果、稼働の状況にかかわらず、〇再生可能エネルギーの導入を含めた地域振興事業への支援、〇原子力防災対策の充実、〇原子力政策の明確化・推進―に関する要望が多いことを改めて確認した。また、許可前は審査の効率化に関する要望、許可後は使用済み燃料などのバックエンド対策、原子力の国民理解の促進に関する要望が多いことが判明。再稼働に向けた住民説明会や議会など、地域理解活動の場においても、原子力の必要性をはじめ発電コスト、核燃料サイクルや最終処分の実現性、周辺自治体も含めた地域理解の在り方、避難計画の実効性、原子力安全―に関する意見が多く寄せられており、原子力事業縮小への不安がある一方で、エネルギー意識が高いなど、同地域の特性を踏まえて同庁は、地域の強みを生かした地域振興やカーボンニュートラルの取り組みを促進すると共に、広域的な取り組みなど先進事例の共有を推進する必要性を示した。
さらに、政策・制度・技術動向・最新知見の共有を強化することで、地域理解に重要な役割を果たし、負担も大きくなっている自治体職員を支援。国・電気事業者・自治体が共に産業の複線化や産業創出を含めた、地域の将来像を描くなど先進的な取り組みを横展開する方向性を示した。