政府 バングラデシュの新規火力計画を中止
国交省が、既報のようにこのほど発表した22年度「インフラシステム海外展開行動計画」の中で「今年度以降に事業参画を目指すプロジェクト」と位置付けた、バングラデシュ人民共和国での「マタバリ港開発事業」の一環となる「マタバリ超々臨界圧石炭火力整備プロジェクト」が、日本・バングラデシュ両国政府が行った交渉の結果、中止することを両国が合意した。既報のように同プロジェクトは、バングラデシュのチッタゴン、コクスバザール両県にまたがるチッタゴン管区に、同国初となる高効率超々臨界圧石炭火力(計240万㎾)を整備する国際貢献事業で、このうちのフェーズ1(1、2号機、各60万㎾)が24年中(予定)の運開を目指して現在進行中で、円借款供与額5000億円のうち、3000億円が既に契約済みとなっている。続くフェーズ2(3、4号機、同)は、東電設計がJICAから準備調査を受託しており、調査報告に基づいてJICAがこれまでFS実施の可否などについて検討していた。
同プロジェクトの中止は、昨年6月に英コーンウォールで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)において、参加国間で合意した「温室効果ガスの排出量削減対策が講じられていない海外の石炭火力に対する、政府の新規支援の21年中の停止・終了」に基づくもので、その際にバングラデシュでの超々臨界圧石炭火力プロジェクトのように「既に手続きが進められていた案件に関しては、停止の対象外とする」としていたが、日本・バングラデシュ両政府による交渉で今回、中止することを決めたもの。なお、国交省が受注を目指すマタバリ港開発事業は「超々臨界圧石炭火力用に整備された航路や防波堤を活用し、同国初となる大水深の商業港を整備する事業」であるため、フェーズ2を中止しても「マタバリ港・地域の開発を含むバングラデシュの経済社会開発に対して、今後も協力していく方針」(外務省)という。このほか、JICAが計画していたインドネシア共和国西ジャワ州インドラマユ県での「インドラマユ石炭火力発電計画」も中止することになった。
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