NEDO 仏ファンディング機関と浮体式風力
NEDOは来月7日、フランスの技術開発ファンディング機関である「ADEME(アデム)」(環境・エネルギー管理庁)と、浮体式洋上風力をテーマに、政府・民間企業の取り組みについて紹介する合同セミナーを開催する。NEDOとADEMEは、相互の技術動向などの情報交換を目的として毎年、双方の関心の高いテーマを設定し、両国で交互に合同セミナーを開催。第16回目となる今回は、コロナ禍の状況を勘案し、前回に引き続きウェブ開催する。浮体式洋上風力の技術開発が世界各国で進む中、日本と欧州の政策やトレンド、技術開発について有識者が講演する同セミナーを開催し、参加者の浮体式風力における欧州地域でのネットワーク拡大、将来への商機につなげる考え。
セミナー当日は、浮体式洋上風力に関する活動状況をNEDO、ADEMEが説明。その後、日本企業、大学によるプレゼンテーションなどを予定しており、日本側の講演者として、東京電力ホールディングス(HD)をはじめ、戸田建設、日立造船、三井海洋開発、神戸大学の代表者が登壇する。東電HDは今年1月、東電リニューアブルパワー(RP)と共に、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」の浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業で採択されており、今年度から来年度にかけて、1.5万㎾級の大型風車と浮体基礎の最適設計、量産するための製造方法などの技術確立を目指すと共に、浮体基礎への風車の据え付けや、係留作業などの低コスト施工技術の開発にも取り組む。さらに、早ければ23年度の開始を予定する実証に向けて、発電システムの全体設計と地点開発を行うことを見込んでいる。
一方で、東電RPは昨年12月、ノルウェーで浮体式洋上風力の実証を開始。同国の海洋エネルギーセンターにおいて、3600㎾の「テトラ・スパー型」浮体式風力の実証運転を開始した。今後3~5年をかけて運転データを収集し、運用面での技術の早期確立を図り、国内での浮体式風力導入につなげる。なお、テトラ・スパー型について同社は、工場で製作した小部材を用いて大型の浮体部分を組み立てる点、港湾内で溶接などの特殊な工程が不要である点、港湾で風車を組み立てるため沖合いで特殊施工船舶による作業が不要な点―などにより、製造・組立・設置の簡略化が可能で、コスト・安全両面での競争上の優位性を確認。50年カーボンニュートラルの実現に向けて、30年以降にも浮体式洋上風力の拡大が見込まれる中で、同型の風力は日本の自然条件下でも適用できる可能性があり、コスト面の優位性も見込め、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて重要な役割を担うことができる将来有望な技術―として、ノルウェー沖での実証運転実績を積み上げていく考え。