東電PG サービス用ロボットの実証が話題
東京電力パワーグリッド(PG)が、東京都新宿区で今月より開始した、サービス用ロボット(パレット)を用いた弁当の試験販売が、コロナ禍で不況に喘ぐ全国の飲食関係者から注目されている。同取り組みは、シニアカーやシルバーカーなどと同様に、歩道での走行が認められている「歩行補助車等制限内」にカテゴリーされる専用パレットを5Gによって管理し、商品の販売と搬送を自動運行させることで「将来的に大きな市場が見込まれる無人移動体による新規サービスの事業可能性を探るための実証試験」(東電EP)。実証に向けて同社は、5Gインフラ向けニュートラルホスト(インフラ代行)事業のNH研究所(東京都千代田区)、プロダクトデザインのアビダルマ(同)と協力し「Furiuri」とネーミングした、サービス提供用パレット(自動運転小型移動モビリティ)を用いた試験走行を、昨年11月~今年1月に実施。安全な走行が確認できたことから今月より、実際に商品提供を行う実証を開始した。
実証では、区内西新宿の飲食店で製造した弁当を、同パレットが受け取った後、至近地まで自動搬送し、専門学校(モード学園)のキャンパスで販売するまでの一連のスキームを検証している。パレットには特殊カメラを搭載し、映した映像を5Gを用いてサーバに送信。サーバ内のAIがパレットに近づく物体の衝突リスクを自動検出して、臨機応変にパレットの走行を抑制することで「無人サービスとしてのセキュリティ」を構築する仕組み。提供日は、毎週月・金曜日の正午~午後1時で、現在、ハンバーグ弁当、鶏のオイル焼き弁当、唐揚げ弁当、生姜焼き弁当を各500円(税込み)で販売しており、いずれも好評という。東電PGなどはこの後、試験販売を来月下旬まで続けた上で、3月以降は、同パレットでゴミ箱やベンチなども搬送して「都市部における憩いの空間を『移動サービス』として提供する試みも実施する」(同)予定。同スキームによる商品提供は、人的接触が少ない上に人件費の削減やサービスの効率化にもつながることから、コロナ禍以降のニューノーマルの時代における「新しいサービススタイル」として定着・普及する可能性を秘めており、様々な業界が注目している。